首都圏マンション発売67%増 10月前年比、郊外けん引

住建・不動産
2020/11/19 20:01
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郊外にある新築マンションの需要が高まっている(東京都三鷹市)

郊外にある新築マンションの需要が高まっている(東京都三鷹市)

不動産経済研究所が19日発表した10月の首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の新築マンション発売戸数は前年同月比67.3%増の3358戸だった。大幅減だった昨年の反動はあるが、新型コロナウイルスをきっかけに新たな住まいを探す動きが強まった。郊外の物件を購入するファミリー層も増え、コロナが人気物件の条件を変えている格好だ。

不動産経済研究所の松田忠司主任研究員は「全体的に好調を維持している」とみる。2カ月連続で前年実績を上回り、東京を中心に全ての地域で発売戸数が増えた。さらに1戸当たりの価格が6130万円で前年よりも138万円上昇したにもかかわらず、消費者の購入割合を示す契約率は70.4%と好不調の目安である70%を超えた。

けん引役となったのは郊外物件だ。発売戸数は埼玉が前年の3.1倍で、神奈川県は21.5%増えた。契約率では埼玉と千葉で8割を超えており、事前にモデルルームを訪れた顧客が強い購入意欲を持っていたことがうかがえる。東京を中心に位置づける不動産会社の販売戦略は変わらないもようだが、秋商戦では郊外物件を積極的に売り出す動きもみられる。

11月29日には三菱地所レジデンスと近鉄不動産が千葉県浦安市で全528戸の「ザ・パークハウス 新浦安マリンヴィラ」を売り出す。平均面積は約96平方メートルで第1期は136戸を発売する。価格は5148万円からだ。都心部でも三井不動産は東京・勝どきで2棟の高層マンション「パークタワー勝どきミッドサウス」(総戸数2786戸)の販売を20日に始める。第1弾は237戸で、最高価格は3億3980万円となっている。

首都圏全体でみれば新型コロナの影響で落ち込んだ4月や5月からの持ち直しは鮮明だ。松田氏は「年間発売戸数は2万戸台半ばまで回復する可能性がある」と話す。

不動産市場の現状について住宅産業研究所(東京・新宿)の関博計社長は「今の家に物足りなさを感じる人が増え、要望を満たす住居を探す動きが強まっている」と指摘する。これまで新築マンションを中心に見ていた人も中古物件や戸建て、リフォームなどに選択肢を広げているという。

実際に中古マンションの需要は拡大傾向にある。東日本不動産流通機構(東日本レインズ)がまとめた首都圏の10月の成約件数は前年同月を31.2%上回り、在庫件数が11カ月連続で減っている。都心部を中心に新築マンションが一段と高額になるなかで、相対的に割安な中古マンションへの関心が高まっている。

戸建て住宅も人気で、オープンハウスは売り上げの先行指標となる仲介契約件数が7~9月には前年同期比48%増えた。2021年9月期の連結営業利益は690億円で前期比11%増え、9期連続で過去最高を更新する見通し。郊外の住宅分譲が中心の飯田グループホールディングスの受注も好調で、部屋数が多く広い住宅を求める動きが着実に強まっている。

住宅購入だけでなく間取りの変更やキッチン、風呂のリフォームなど「快適な住まいを求める動きはしばらく続く」(関氏)。新型コロナに収束の兆しはないが、低金利や住宅ローン減税などを追い風に住宅市場の拡大は続きそうだ。

在宅勤務に適した郊外マンションに続いて消費者の人気を集めるのは、どんな物件なのか。これからも顧客動向の変化に注目する必要がある。

(原欣宏)

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