「大黒柱は男?」見つめ直す日に 国際男性デー
11月19日は男性の健康に目を向け、ジェンダー(社会的性差)に目を向ける「国際男性デー」。海外では記念日として祝う国があるが、日本ではまだ知名度が低い。この日を契機として「一家の大黒柱であらねばならない」といった考え方による男性の生きづらさを考えようという動きが出てきた。

「やっぱりママじゃなきゃだめだよねとか、もっと稼がないといけないとか、男性にかけられる呪いがある」。国際男性デーに合わせて女性支援団体「Lean In Tokyo」が主催した今月7日のオンラインイベント。性別による役割分業を巡り、共働き夫婦の家事の在り方やパートナーシップについて意見が交わされた。
イベントでは、子育て中でも柔軟に働ける企業への転職を仲介する「XTalent」の上原達也代表がゲストで講演。上原氏のもとには「今の会社では男性の子育てへの理解度が低く、両立しにくい」「育児休暇が取れない」と転職相談に来る男性が多いという。
Lean In Tokyoが昨年、10代から60代の男性309人を対象にした調査によると「職場や学校、家庭で男だからという理由で生きづらさを感じるか」との問いに対し、17%が「頻繁に感じる」、34%は「たまに感じる」と回答した。
理由の上位(複数回答)には「力仕事や危険な仕事は男の仕事という考え」「デートでお金を多く負担したり、女性をリードしたりすべきだという風潮」「一家の大黒柱であるべきだというプレッシャー」「弱音や悩みを打ち明けるのは恥ずかしいという考え」などが入った。
男性の育児休暇取得は少しずつ進んではいるものの、2019年度の取得率は7.48%にとどまる。取得の日数も約80%が1カ月未満(18年度)だ。
父親の子育て支援に取り組むNPO法人、ファザーリング・ジャパン(東京)の西村創一朗理事は「『大黒柱バイアス』から離れ、仕事も育児もしたいだけすべきだ。言っていかないと何も変わりません」と強調する。生きづらさを抱え込まず、思い切ってパートナーや上司に話すようアドバイスする。
Lean In Tokyo代表の古城佑希さんは、女性の社会進出を後押しする団体として、男性関連のイベントを主催することについてこう意義を強調する。「女性の思い込みや偏見が男性の生きづらさの一部をつくっている面も否定できない。男性の問題を可視化することでお互いに生きやすい環境をつくれるのではないか」
〔共同〕