コロナ重症者「第2波」超す 全国、2週間で1.7倍

国内の新型コロナウイルス感染者が2千人を超え過去最多となるなか、重症化する患者が増えている。重症者数は270人台で8月の感染拡大「第2波」のピークを超えた。東京都や大阪府など3都府県は重症者用の病床に対する使用率が4段階評価で2番目に深刻な「ステージ3」の水準になっている。医療現場は警戒を強めている。
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厚生労働省の集計によると、国内の重症者は17日時点で前日比4人増の276人となった。第1波ピークの328人(4月30日)には届かないが、第2波ピークの259人(8月23日)を上回り、2週間で1.7倍近くに増えている。
原因は感染者の年齢層の広がりにある。第2波は接待を伴う飲食店など夜の繁華街で感染が拡大し、無症状や軽症の若者の感染が目立った。今回は年齢層が広く、11日までの1週間の感染者の年代別の内訳は30代以下が49%、40~50代が28.6%、60代以上が22.2%と満遍なく分布する。
新型コロナは年齢が上がるほど重症化リスクが高いとされる。田村憲久厚労相は17日の記者会見で「医療施設や介護施設でのクラスター(感染者集団)が多発している」と指摘した。厚労省によると、16日までに全国で起きたクラスターは計2147件。飲食店や企業、福祉施設での発生が多い。

懸念されるのは病床の逼迫だ。厚労省は各都道府県で確保されている重症者用の病床使用率が25%以上になるとステージが「3」、ピーク時に確保を見込む病床の使用率で50%以上を最も深刻な「4」の水準としている。同省が公表した最新データでは10日時点で東京、大阪、沖縄の3都府県が25%を超え、ステージ3の水準になった。
都市部では引き続き状況が悪化している。東京都は17日に都の集計基準で42人と緊急事態宣言解除後の最多を記録。都が確保した重症者用の病床は150床で、使用率は28%に上った。18日は39人になったが高止まりが続く。18日は大阪府も重症者が72人となり、病床使用率は35%に上った。
愛知県も17日時点で重症者が15人で病床使用率は21.4%となっている。200人前後の新規感染が続く北海道が18日に重症者が18人で病床使用率が15%弱になるなど、今後は地方でも増加が加速する恐れがある。
医療機関への負荷は増している。「第2波と第3波の切れ目がないまま患者数が増え始めた。医療スタッフの不安や疲れがピークを迎え始めている」。東京医科歯科大医学部付属病院(東京・文京)は18日時点で重症者7人を受け入れる。都から割り当てられた受け入れ人数5人を超えている状態だ。
重症度は高く、体外式膜型人工肺(ECMO=エクモ)2台、人工呼吸器5台、血液浄化装置2台が稼働中。エクモなどは24時間体制で監視する必要があり、医師や看護師らの負担は大きい。
ただ、全国で重症者数が計300人を超えて医療崩壊の瀬戸際になった4月と比べ、感染者が重症化する割合は減っている。症例の積み重ねで治療法が確立しつつあることや、検査数の拡充で早期発見が可能になったことなどが要因に挙げられる。病床逼迫が懸念されるなか、重症化を防ぐ取り組みも重要になっている。

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