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遠い「再生エネ先進国」 発電比率18%、欧州の半分

日本の発電量に占める再生エネルギーの割合は欧州主要国の半分程度

日本の再生エネルギーの利用の遅れが改めて浮き彫りになった。2019年度の発電量に占める再生可能エネルギーの割合は前の年度から1.1ポイント上昇の18.0%と、4割前後に達する欧州主要国の半分程度の水準にとどまった。50年に温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする政府目標の実現には、大胆な政策転換や技術開発など総力を挙げた取り組みが欠かせない。

経済産業省が18日発表した19年度のエネルギー需給実績の速報値で明らかになった。10年度に9.5%だった再生エネの比率は固定価格買い取り制度(FIT)が12年に導入されてから徐々に広がっている。もっとも内訳をみると、半分弱は水力だ。太陽光は4割弱あるものの、風力は再生エネ全体のわずか4%と普及への歩みは鈍い。

日本よりも早い段階で再生エネの支援に着手していた欧州の主要国ではドイツが42%、英国は39%、スペインが38%となっており、日本の出遅れは際立っている。同じアジアでも60年の排出量実質ゼロを掲げる中国が28%に達しており、日本との差を広げつつある。

政府は50年に排出量を実質ゼロにした場合の電源構成を示す試算を出していない。参考になるのが欧州連合(EU)の脱炭素シナリオだ。再生エネの割合が50年に81~85%になると想定しており、その多くを太陽光と風力でまかなう。現状の欧州の導入状況と比べてもその差は大きい。

欧州は新型コロナウイルスによる経済の低迷を環境投資で克服する「グリーンリカバリー」を打ち出している。米国でも大統領選で当選を確実にしたバイデン氏が4年間で2兆ドル(約208兆円)の投資を公約に掲げた。気候変動への対応を成長分野として捉えて投資の呼び込みを競う。

国際情勢を踏まえ、日本も年内に脱炭素社会の実現に向けた実行計画を示す方針だ。国内外の企業や投資家の関心をひき付けられる中身にできるかどうかが問われる。

排出量実質ゼロに向けては二酸化炭素(CO2)を排出しない原発との向き合い方も大きな課題になる。エネルギー需給実績によれば19年度の比率は6.2%で前の年度からほぼ横ばいだった。政府目標である30年度20~22%の達成は難しい。

EUの脱炭素シナリオでは原発の割合を12~15%と想定しており、日本でも一定規模での活用は必要になるとみられる。新増設も含めた長期的な視野での議論が必要になりそうだ。

19年度の発電量のうち火力発電は8割弱を占めた。火力は11年の東日本大震災によって停止した原発の穴を補う形で稼働が進み、国内の発電量の9割近くをまかなっていた時期もあった。比率は低下傾向にあるが依然として高水準にある。火力発電からのCO2排出量は日本全体の約4割を占めており、火力への依存度を最大限下げなければ50年の排出量実質ゼロの達成はおぼつかない。

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