/

ウォルマート「増収増益」に漂う先行き不透明感

ウォルマートは伸びが続くネット通販の注文対応などに実店舗を活用する=ロイター

【ニューヨーク=白岩ひおな】米小売り大手ウォルマートの業績が岐路に立っている。17日発表した2020年8~10月期決算は、増収増益を確保したものの伸び率は縮小した。西友株の売却など事業を選別しネットシフトを一段と進めるが、新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、個人消費の失速など不透明感も出はじめた。

来店客数は2桁減

17日に発表した8~10月期の純利益は前年同期比56%増の51億3500万ドル(約5351億円)だった。ネット通販の売上高は79%増と好調だ。全体の売上高は5%増。比較可能な既存店の売上高も6.4%増えたが、前の2四半期に比べると伸び率は小幅にとどまった。

来店客数は14.2%減と減少が目立つ。客単価が24%増と客数の減少を補ったものの「特に非食品分野で、頻繁な訪問に伴う衝動買いのチャンスを逃し始めている」(米調査会社グローバルデータ・リテールのニール・サンダース氏)との指摘もある。感染が再び広がるなか、できるだけ外出を控え、必要なものをまとめ買いする消費者が多いことがうかがえる。

国内市場に重点

めまぐるしく変化する環境のなかで、ウォルマートは米国内の店舗の活用と成長が続くオンライン市場に注力する戦略をとった。10月には傘下の英スーパー3位アズダを英国企業に売却すると発表。15日には保有する大半の西友株を米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)と楽天に売却すると発表した。

ウォルマートは米国民の9割を半径10マイル(約16キロメートル)にとらえる広域の店舗網が強みだ。これらの店舗を倉庫や配送センターとして活用しながら、店舗のデジタル投資を加速している。全4700店舗のうち、すでに約2500店舗はオンライン注文の処理を同時に担っている。

ダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)は「年末商戦の時期には必要とあらば、配送センターの負担軽減のためにさらにオンラインの注文を処理する店舗を増やすつもりだ」と述べた。

会員数など非公表

ネット通販事業の拡大を急ぐのは、実店舗の小売りへの侵食を進める米アマゾン・ドット・コムへの競争意識が大きい。核となるのが、9月中旬に開始した生鮮品の即日配送などのサブスクリプション(継続課金)型サービス「ウォルマート+(プラス)」だ。アマゾンの会員サービス「プライム」の対抗軸という位置づけだ。

プライムのように動画配信などエンターテインメントの機能は盛り込まず、地域に根ざしたネットワークと生鮮品の品ぞろえを強みとする。ただ、マクミロン氏は17日、会員数などの開示を求める再三の質問に回答せず「時間の経過とともに、ウォルマート+はさまざまな点で貢献するだろう」と述べるにとどめた。

新型コロナの感染拡大下で予測が困難として、通期予想の公表も見送った。トイレットペーパーや掃除用品など主要商品の在庫確保に苦戦しているとも明らかにした。年末商戦では店頭の混雑や物流の逼迫を避けるためのセール分散や入店制限なども取り入れるなど、手探りが続く。見通しの不透明感から、株価は前日終値から2%減で引けた。

同日に発表したホームセンター大手ホーム・デポの8~10月期決算は、売上高が23%増の335億3600万ドル、純利益は24%増の34億3200万ドルだった。市場予想を上回ったが、人件費など追加の費用負担の懸念や好材料の出尽くしが売りにつながった。

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

関連企業・業界

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン