ソフトバンクG孫氏「最悪期に備え現金8兆円確保」

【ニューヨーク=大島有美子】ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は17日、講演会で「最悪のケースに備え現金を積み上げている」と述べ、SBGがすでに約800億ドル(約8兆3000億円)の現金を手元に確保したと明らかにした。
孫氏は米紙ニューヨーク・タイムズのオンライン講演会に登壇。新型コロナウイルスについて「今後2~3カ月は大きな状況悪化が起こりうる」との認識を示した。ワクチン開発の進捗を受け「長期的には楽観視しているが、短期では悲観している」と述べた。
積み上げた現金の使途については人工知能(AI)企業への投資や自社株買いなど「多様な選択肢がある」とした。市場で観測の強まっているMBO(経営陣が参加する買収)によるSBGの非上場化について問われると「そうした話はコメントできない」と言及を避けた。
SBGは米シェアオフィス大手のウィーワークに数兆円を投じたが「多額の資金を投じたのは間違いだった」と述べた。ウィーワークは創業者で前最高経営責任者(CEO)のアダム・ニューマン氏の過度な事業拡大が経営難を招いた。
孫氏はニューマン氏について「とても賢く才能がある人だ。今でも好きだし尊敬している。彼がいつか成功することを確信している」と話した。
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トランプ米政権は中国発の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」に安全保障上の問題から利用禁止措置を取ろうと動いている。SBGはティックトック運営会社の北京字節跳動科技(バイトダンス)に出資している。孫氏は「実際に起きていないことで政治上の懸念が生じ、人々が楽しむサービスを享受できなくなるのは悲しいことだ」と述べた。
過去に孫氏がアマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾスCEOとアマゾン株を3割取得する契約の直前まで行ったが資金がなく断念したことも話題に上がった。「本当に愚かだった。スイスの小さなホテルで話したのだ」と回顧した。投資判断については「愚かさを受け入れ、素早く学習する」との姿勢を強調した。

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