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「工匠の技」継承へ保護必要 無形遺産の登録勧告で

宮大工や左官職人ら匠(たくみ)が継承する「伝統建築工匠の技 木造建造物を受け継ぐための伝統技術」について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の評価機関は無形文化遺産に登録するよう勧告した。文化庁が17日に発表した。後継者の育成は容易ではなく、評価機関は勧告した文書の中で保護の必要性を強調した。

17分野の技術の一つである「茅葺」=共同

対象は木工や左官など17分野の技術で、12月14~19日にオンライン開催されるユネスコ政府間委員会で正式に登録が決まる見通しだ。政府は2019年3月、登録を申請した。正式決定で国内22件目となる。ユネスコの暫定スケジュールでは、登録審査は12月16、17日に行う。

無形文化遺産は人類の文化の多様性を示す技術や行事を保護するために登録する。勧告は古くから大工の棟梁(とうりょう)らが「弟子を鍛え、知識や技術を伝えてきた」と評価。屋根ふきなど一部の作業には地域住民が関わることがあり、社会の結束を強める役割も果たしているとした。

一方、評価機関は熟練職人による弟子への匠の技の伝承について「近代化の結果、このプロセスはより困難となった」と指摘。後世への伝承に危機感を示した。

職人は各地に残る貴重な木造建築を後世に残す役割を担うが、高齢化が進んで門をたたく若手は少ない。

文化財建造物保存技術協会(東京都)は寺社や城、古民家などを修復、復元する際の設計を行う。近年は耐震性の調査や災害復旧の発注もあり、受注件数は増加傾向にあるという。だが設計を専攻した学生の多くは大手建設会社などに流れる。野尻孝明常務理事は「技術は連綿と続き、今日に至っている。後世にも残る仕事で、やりがいがあることを知ってもらいたい」と話す。

これまでの日本の無形文化遺産21件は「能楽」や「和食」、各地の祭りで構成する「山・鉾(ほこ)・屋台行事」など。「伝統建築工匠の技」の次の候補に政府は、豊作祈願や厄払いの踊り「風流踊(ふりゅうおどり)」を申請した。22年に可否が決まる見込みとなっている。〔共同〕

●各地で喜びの声
 「代々守ってきた技が認められた」。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の評価機関が「伝統建築工匠の技」を無形文化遺産に登録するよう勧告を出したとの知らせに、各地の関係者は喜びの声を上げた。
 左官技術の保存に取り組む全国文化財壁技術保存会(愛知県江南市)の安達保信会長は「大変ありがたい」と歓迎。登録を機に「技術を継承する若い人たちが活動しやすい環境づくりを一層進めていきたい」と語った。
 日本伝統瓦技術保存会(奈良県生駒市)の竹村優夫代表理事は「職人は今後ますます減ることも予想され、業界が縮小していく状況だ。より広く伝統技術を知っていただける機会になり喜ばしい」と話した。
 一方、ひさしや欄間、扉などを修復する全国伝統建具技術保存会(山形市)の広報担当者は「先人の努力のたまもの」と強調。適切に修理されず放置されている文化財が全国に広がっているとして「国や自治体に予算の制約があるのは分かるが、できるだけ修復工事を増やしてほしい」と訴えた。〔共同〕

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