/

タイ国会が改憲議論を再開 王室や上院の改革が焦点

国会前の反体制派に警察が放水

17日、バンコクで、改憲提案の審議を始めたタイの国会議員=AP

【バンコク=村松洋兵】タイ国会は17日、反体制派が求める憲法改正を巡る議論を再開した。与党、野党、民間の3者からそれぞれ提出された改憲提案を18日までの予定で審議する。王室改革を求める反体制派の若者らはバンコクの国会議事堂の近くに集まった。国軍の政治関与の低下を狙う民間提案の承認を求めた。

改憲提案を出した民間は約10万人の署名を集めた「iLaw」という団体で、リベラル系の法学者らで構成する。民主化の進展に取り組む有力団体の一つで、デモ参加者は同団体の提案を支持している。野党側からの提案は計5つだが、最大野党で下院第1党のタイ貢献党(タクシン元首相派)を含め全野党が各案を肯定した。

焦点は(1)改憲する場合の新たな憲法起草会議の構成(2)王室関係の条文(3)上院改革――の3つだ。

憲法起草会議について3者は会議の設置そのものには同意する。しかし、メンバーの選び方は異なる。軍事政権の流れをくむ親軍の「国民国家の力党」を軸とする連立与党は委員200人のうち150人が公選で、50人を政治や法律の専門家らから選ぶよう求める。だが、野党、民間はいずれも200人全員を公選にすべきだと主張する。

反体制デモの参加者は王室と政治の分離などの王室改革を求めるが、与党と野党の提案はいずれも王室関連の条文を変更しないと指摘する。民間の提案は、この条文の扱いに言及していない。街頭で王室支持を叫ぶグループは「仮に民間提案が通れば、王室関係の条文に手を加える思惑があるはずだ」と指摘する。

2019年の民政移管前の軍事政権の時代に制定された現憲法に基づき、全議員を事実上、国軍が指名している上院(定数250)の改革について与党は言及していない。野党は上院の権限縮小、民間は公選による選出への変更を求めている。

現憲法で、下院(同500)は全議席を選挙で決める。だが、首相は上下両院計の過半数で選出するため、国軍寄りの勢力が下院の25%超を占めれば軍が政権を握れる。

首相は国会議員である必要はない。いまのプラユット首相も国軍出身の非議員だ。同氏は陸軍司令官だった14年にクーデターを主導した後、軍事政権の暫定首相に就任。17年に憲法改正を実現し、19年の総選挙を経て首相に選ばれた。国軍の利益に配慮する立場だ。

タイ国会は議案を3段階で審議する「3読会制」という3段階のシステムを採用している。今回の改憲提案は2日間、第1段階の審議をする。各提案を議論した後、18日には両院議員による投票を実施し、どの提案を第2段階に進めるのか決定する。プラユット政権は年内に最後の第3段階の審議を終える構えだ。

改憲提案は9月の国会で採決される予定だったが、与党側の主張で見送られた。これに反体制派が反発し、デモが激しくなっていた。

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン