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「ニューシブコ」へもがく渋野 21歳はポンコツな1年

編集委員 吉良幸雄

渋野は今季国内外で10戦して伊藤園女子の23位がベストと苦戦が続く=共同

世界のひのき舞台でついた愛称が「スマイリング・シンデレラ」。2019年5月の国内メジャー初戦、ワールド・サロンパス杯で女子ゴルフツアー初優勝を飾ると、海外ツアー初出場のAIG全英女子オープンで日本選手として42年ぶりの海外メジャー制覇の快挙を達成した。一躍スターダムに躍り出た渋野日向子(22)だが、20年は"魔法"が解けたのか、苦闘が続いている。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で相次ぎ大会が中止される中、やっと開催された6月の国内開幕戦、アース・モンダミン杯で予選落ちと出足でつまずいた。8月にスタートした欧米ツアー転戦では、前年覇者として挑んだ全英女子で前週のスコットランド女子オープンに続きよもやの2戦連続予選落ち。メジャーのANAインスピレーション(51位)、全米女子プロ(58位)など米国の4試合は決勝ラウンドを戦ったものの、24位が最高と芳しい成績を残せなかった。

自主待機を経た帰国初戦の樋口久子・三菱電機女子(10月)も予選落ちの憂き目を見、トレードマークの笑顔は減った。11月15日に22歳の誕生日を迎えた渋野は「21歳(の1年間は)はポンコツな年」と苦笑いを浮かべた。

コロナ禍の長いオフの期間中は、安定したショットを求め、青木翔コーチの指導でアドレスのスタンス幅をやや狭めたり、トップ位置をコンパクトにするなどスイングをマイナーチェンジ。筋力トレーニングや課題のアプローチ練習に励み、一段のステップアップを図った。しかし米ツアー参戦を見据えた取り組みは、思うように結果に結びついていない。

アプローチのバリエーションを増やそうと試みたが…=共同

アプローチでは58度のほかに52度のウエッジやピッチングウエッジ(PW)を使いバリエーションを増やそうと試みたが一頓挫。当面は58度を使い続ける。「今までアプローチはピンに寄せることしか考えていなかった。落とし場所をイメージして打つことが大事。来年、再来年に52度やPWで打つことができるようにしたい」。帰国後の樋口・三菱、TOTOクラシック、伊藤園女子の国内3戦でもアプローチを寄せきれず、ボギーをたたく場面が何度も見られた。ガードバンカーからパーを拾うサンドセーブは、計8回中2回しかない。

全英女子制覇のほかに国内4勝をマーク、最終戦まで賞金女王争いを演じてランク2位(1億5261万円)となった「行け行けどんどん」の昨季は、出来すぎと思っている。夢中でプレーし、攻めのゴルフができていたが「それでは今の私より前へ進めない」。

クレバーな渋野だから、米ツアーで試合を重ねることで、自分の立ち位置や課題を認識。メジャー5大会制覇という大目標を掲げているだけに「今までより、(全て)レベルを上げていかないと」。勢いで突っ走るのではなく、将来をにらみ自分のゴルフスタイルを確立しないことには、世界で戦えないと考えている。

技術面で課題を抱えるパットが足を引っ張っている=共同

技術面で昨季と大きく違うのはパッティングだろう。昨季の平均パット数は1ラウンド当たり29.11(5位)だったが、今季は国内4試合で29、32、31、31パットとグリーン上で苦しんでいる。それが国内外で10戦して伊藤園女子の23位がベストという結果に。全英女子のウイニングパットのような「壁ドン」の強気のパットが影をひそめている。

過去の動画を見たり、パッティング測定器でチェックしたりした結果、昨年は「インtoイン」だったストローク軌道が、今年は「アウトイン」に。「自分で意識しないと(パターが)アウトに上がってしまう」。ボールのつかまりが悪く、安定した順回転の転がりをしない。今は「インに引く」「緩まないように打つ」「おなかに力を入れる」ことを意識しているという。

パットだけでなく、ドライバーショットは迫力を欠き、飛距離は物足りない。グリーンを狙うアイアンショットも次々ピンを刺すような精度の高さはない。ただ、伊藤園女子の第2ラウンド後、今季はずっと右足裏の痛みに悩まされていることを明かした。はり治療やマッサージを受け、テーピングをし、靴底にインソールを敷いて対処しているそうだが、ラウンド中もときどき痛み、「足が本調子でない」。それでも「言い訳にはしたくない」。

米ツアーへの思いが強く、この先の1年を参戦への準備の年と位置づける=共同

異国で2カ月戦い、「米ツアーへの思いは強い。覚悟はできている」という。22歳になり、この先の1年は米ツアー参戦への準備の年と位置づける。「来年はQスクール(米ツアー予選会)もある。人生の転機。米ツアー挑戦へ向けて、しっかりやっていくしかない。苦しい1年だと思うけど」。試行錯誤を続け自信も失いかけた21歳の1年間もいい経験、決して無駄にはならないはずだ。

19日からはディフェンディングチャンピオンとして臨む大王製紙エリエール(愛媛)、来月には海外メジャー最終戦の全米女子オープン(10~13日、テキサス州)が待つ。「将来の米ツアーを考えながら試合をしていく」。足元を見つめながら、ひたむきに一歩ずつ歩み続ける。

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