新型コロナワクチン、米モデルナが94.5%有効確認
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【ニューヨーク=中山修志】米製薬の新興企業モデルナは16日、新型コロナウイルスのワクチンの最終治験で94.5%の有効性が初期データから得られたと発表した。数週間以内に米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請するとしている。米ファイザーに続いて開発中のワクチンの効果が示されたことで、実用化への期待が広がる。
治験参加者3万人超の半数にワクチンを投与し、残りの半数には効果の無い偽薬を与えた。そのうち新型コロナに感染した95人を調べたところ、90人が偽薬の投与者でワクチンを使った人は5人にとどまったという。ワクチンを得ていた人は、発症しても重い症状にはならなかった。
モデルナは認可が得られれば年末までに2000万回分のワクチンを米国向けに供給する見通し。2021年には5億から10億回分のワクチンを生産する計画だ。
日本政府は21年前半までに国民全員分のワクチンを確保することを目指している。モデルナからは5000万回分(2500万人分)のワクチンの供給を受ける契約で基本合意している。同じく治験の初期データで9割を超える効果を発表した米ファイザーと、英アストラゼネカともそれぞれ6000万人分の契約を結んでいる。
セ氏2~8度 30日保管
【ニューヨーク=野村優子】製薬各社が開発中の新型コロナウイルス向けワクチンで、高い有効性が相次ぎ示された。16日に米モデルナが94.5%の有効性を発表。9日には米ファイザーが90%の有効性を発表した。当局の審査を経て早期の実用化にこぎつければ、経済活動にもプラスとなる。
2社が開発するワクチンはともに「メッセンジャーRNA(mRNA)」という遺伝子を使ったもの。ウイルスの遺伝子情報の一部を体内に取り入れ、人の細胞でウイルスの部品をつくり免疫反応が起きる仕組みだ。
人への使用実績が無い一方で、開発や製造がすばやくできる利点がある。有効性に課題があるとされてきたが、90%を超える有効性が続いたことで実用化への期待が高まっている。
モデルナのワクチンの強みは扱いの容易さだ。ファイザーの場合、セ氏マイナス70度程度での保管が必要だ。一方モデルナの場合、一般または医療用冷蔵庫の温度で対応できることをアピール。2~8度で30日間保管できるほか、マイナス20度では最大6カ月保管ができるという。