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大分空港、県が活性化3策 視界不良のなかホーバー前進

大分県が大分空港(同県国東市)の活性化に意欲的だ。ホーバークラフト航路を最短で14年ぶりに復活させて大分市内とのアクセス改善を図るほか、米国企業と組んだ「宇宙港化」構想に取り組み、コンセッション(民間運営)導入も検討している。新型コロナウイルス禍で旅客需要の視界は悪いが、県は長期総合計画を踏まえた「3点セット」で地域を元気にする。

「コロナ禍や災害が続く混沌として不確実な時代だが、便利に移動したいという人々の欲求は不変だ。活力や発展につながる歩みを進めたい」。広瀬勝貞知事は9日の会見で空港の活性化に取り組む意義を説明した。

以前のホーバークラフトは空港が国東市に移った1971年に就航したが、維持管理費用の上昇に加え、2008年のリーマン・ショックに伴う利用者減が響き、09年に運航を終了。その後、インバウンド(訪日外国人客)が増えて18年度に空港利用者が16年ぶりに200万人を超え、県は今春にホーバー復活を表明した。

大分空港は管制やターミナルビルなどの運営主体がバラバラ(10月、大分県国東市)

今回は運航とインフラ保有・整備を分ける「上下分離方式」を導入。11月上旬に運航事業者を第一交通産業に決めた。同社は早ければ23年度中に運航を始め、20年間事業を続ける。所要時間は約25分と高速道路経由(約1時間)のほぼ半分。予備船を含む3隻の購入費や発着地の整備などで県は75億~85億円の負担を見込む。

大分市側の新たな発着地に選んだ西大分地区は以前の発着地より中心市街地に近い。県は500台程度を止められる無料駐車場も整備。マイカーで空港へ行っている人の需要も取り込み、年30万~40万人台の利用につなげる。発着地の整備などに向けた事業費約2億8300万円を補正予算案として25日からの県議会に提案する。

宇宙港化構想は米ヴァージン・オービット(カリフォルニア州)と4月に提携。22年にも大分空港を離陸した航空機から人工衛星を打ち上げる。県は野村総合研究所に関連調査を委託し、「スペースポート推進本部会議」も立ち上げた。大分経済同友会はこうした先端技術を観光に生かす「テックツーリズム」の推進を県へ提言した。

定例会見で大分県が大分空港の活性化に取り組む意義を説明する広瀬勝貞知事(9日、大分県庁)

そして民営化。国に依頼した空港施設のデューデリジェンス(資産査定)は20年度末までに結果が分かる見通し。県はそれを受け、空港運営の方向性を決める。現在は滑走路や駐機場は国、ターミナルビルは県などが出資する企業と運営主体が別れ、一体・戦略的な運営が難しいという。

県は総合計画の項目に「先端技術への挑戦」や「九州の東の玄関口としての拠点化」を掲げている。21年度県政推進指針にも「大分の地方創生の一つの旗印」(広瀬知事)として空港の機能強化や活性化を盛り込んだ。

一方で、肝心の空港利用者数は先行きを見通しにくい。19年度はコロナ禍で約183万人に減ったが、20年度はさらに落ち込みそうだ。ただ第一交通の小田典史企画調整室長はホーバー事業について「県民の関心が高く、観光客も2~3年後には戻ると考えられる。勝算はある」と読む。

県交通政策課の遠藤健人課長は「人口減に直面する地域の振興には空の玄関口の活性化が非常に重要だ」と指摘。「年間250万~300万人が利用する空港を目指す」と話している。施設やホーバーの利用者を十分に確保するには、国内外での周知活動も今後の課題になりそうだ。(大分支局長 松尾哲司)

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