RCEP、異例のオンライン署名 ベトナム政府主催
【ハノイ=大西智也】東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国のベトナムは15日、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の署名式を主催した。15カ国をテレビ会議でつなぎ各国首脳らが同席、主に通商交渉担当の閣僚が手元の文書にペンで署名した。
ハノイの会場には加盟国の駐ベトナム大使も招かれ、フック首相をはじめベトナム政府関係者らと様子を見守った。テレビに映った参加国が署名するたび、拍手や歓声が上がった。日本は菅義偉首相が参加。梶山弘志経済産業相が署名した。
新型コロナウイルスの感染拡大が続き、対面方式の式典開催は見送られた。国家間の移動が円滑になるにはなお時間がかかるとみられ、ASEAN外交筋は「自由貿易協定(FTA)署名の新たな形」と語った。
各国がペンで署名した文書はASEAN事務局に集められる見通し。電子署名の採用も検討したが、日本を含め法的拘束力がない可能性があり、見送った。フック首相は15カ国の署名後に会見し「ASEANと加盟国の指導者の過去数年にわたる支援と努力に心から感謝したい」と話した。