/

スパイス香る古書の街 神田(東京・千代田)

カレーの街として知名度が高まる神田神保町

東京メトロ神保町駅からJR御茶ノ水駅まで散歩をしながら、古書店の前の台車に無造作に積まれた本の山を眺めていると、風に運ばれたスパイスの香りが鼻腔(びくう)を刺激してくる。見渡すと、書店に交じって目に付くのがカレー店の看板。洋風、和風、インド、東南アジアなど各地の人気店がひしめく全国有数の激戦区だ。神田や周辺エリアで400店を超えるという。

「30年ぐらい前はカレー店は数えるほどしかなかった」と話すのは1924年創業の老舗で、スマトラカレーが看板の「共栄堂」の3代目、宮川泰久さん。周辺に大学が多かったことから神保町に店を構えたそうで「かつては中国からの留学生向けの中華料理店が多かった」という。

2000年ごろからカレー店が徐々に進出し始めたが、「カレーの街」というイメージが定着するきっかけは11年に始まった「神田カレーグランプリ」だ。地元カレー店が屋台で集結し人気を競うイベントで、19年は2日間で約4万6千人のファンが参加した。

最初からカレーに狙いを定めていたわけではなかった。10年に千代田区で開いた地方産品の食のイベントの一角に地元のカレーコーナーを設けたところ来場者が殺到。グランプリの責任者で、神田カレー街活性化委員会委員長の中俣拓哉さんは「カレーという地元の資産に気づいた」と振り返る。

人気イベントに成長したグランプリは、20年に第10回大会を迎えるはずだったが新型コロナ禍で中止となった。だが激戦区で腕試しをしようと、新規出店も相次ぐ。2月にJR神田駅近くにオープンした「シャンティ」は「ダルバート」(ネパールカレーの定食)が看板メニュー。昨年まで都内の別の場所に店を構えていたが、店長のマーラ・ゴルブさんは「全国的に知られてカレー好きが集まるので、ダルバートの専門店も選んでくれるのでは」と出店。実際、カレーに詳しい新規客も多く、スパイス談議を交わすこともあるという。

神田かいわいにカレー店がここまで増えたはっきりとした理由は分かっていない。ただ、未知のものに出合う喜びや、人それぞれに違うこだわりといった共通点が、一見かけ離れた両者を結びつけているのかもしれない。

(岩村高信)

古書の街、神田神保町にスパイスの香りがただよう

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン