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途上国債務、削減枠組み合意 G20、実効性に課題

20カ国・地域(G20)は13日、財務相・中央銀行総裁会議を開き、途上国の債務を削減する場合の共通の枠組みづくりで合意した。新型コロナウイルスの感染拡大で経済や財政の悪化が深刻な途上国の救済措置を整え、連鎖的な破綻を未然に防ぐ。最大の貸し手である中国を含めた合意は国際協調の前進となるが、制度の実効性を疑問視する声もある。

テレビ会議形式で日本からは麻生太郎財務相と黒田東彦日銀総裁が参加した。麻生財務相は会議終了後に記者会見を開き、先進国だけでなく中国を含めたG20全体で債務削減の枠組みを初めて作ったとして「歴史的な会合だ」と胸を張った。

G20はこれまで途上国の債務返済を猶予する措置を講じてきたが、コロナ禍の長期化で返済額が後々膨らむことを懸念する声は根強い。猶予対象73カ国のうち実際に申請したのは10日時点で44カ国のみ。ケニアやガーナなど過剰債務が指摘される国も申請していない。

ケニアはコロナ対応で24億ドルの財政支出を迫られた。2019年に国内総生産(GDP)比57%だった政府の純債務は21年に67%に高まる見通しだ。乏しい財政余力に対して返済負担が膨らむ。

債務猶予は政府系機関のみが対象となり、国債の格下げのリスクがある割に恩恵が乏しいという声もある。民間からの融資を含め債務を減らす措置まで念頭に置かなければならない状況になっている。

途上国債務の削減は1980年代以降、先進国で構成するパリクラブ(主要債権国会議)が主導してきた。近年は中国が途上国向け融資を拡大。73カ国に対するG20からの公的融資1780億ドルのうち、中国は63%を占める。中国を含めて新たに削減の枠組みを確認する必要があった。

今回合意した枠組みでは、途上国が債務削減を希望した場合、まず国際通貨基金(IMF)や世界銀行が融資の状況や条件を精査する。IMFなどは途上国の経済がどれほど回復するかなどを見極め、貸し手側に債権の一部放棄を求める。削減条件は、すべての債権国が合同で確定する。

中国は政府が100%出資する中国国家開発銀行について「民間機関なので対象外」と主張し、債務猶予を巡っても途上国向けの融資実態を明らかにしてこなかった。今回の枠組みは民間融資の削減率が公的融資と「少なくとも同程度」になると明記してけん制した。

制度の実効性にはなお疑問が残る。中国は広域経済圏構想「一帯一路」に基づいて途上国向けの融資を増やしてきた。鉄道などの建設資金を出す代わりに、水面下で天然資源や港湾などの重要施設を担保にとる「債務のワナ」も指摘される。透明性をどこまで確保できるかは未知数だ。

途上国経済は規模が小さくても、破綻すれば中所得国に信用不安が広がる懸念もある。債務削減の枠組みは10月のG20会合で合意に至る予定だった。しかし足並みがそろわず、11月に改めて特別会合を開かなくてはならなかった。世界的に新型コロナの感染が再拡大する状況で、実効性のある協調路線を迅速に打ち出せなかったG20の現状は先行きに波乱の芽を残す。

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