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JOCなど、性的画像の被害撲滅へ共同声明

写真や動画による性的ハラスメントからアスリートを守れ――。日本オリンピック委員会(JOC)らスポーツ関係団体は13日、SNS(交流サイト)などでアスリートに対する性的な画像や書き込みの被害が拡大していることを受け、共同で声明を発表した。競技会場での盗撮行為やネット上での投稿の情報提供を呼びかけ、スポーツ庁などとも連携しながら被害撲滅に取り組む。

JOCら7団体が共同で発表した性的ハラスメント防止を呼び掛けるポスター

共同声明を発表したのはJOC、日本障がい者スポーツ協会、大学スポーツ協会、全国高等学校体育連盟、日本中学校体育連盟など7団体。同日、東京都内で記者会見したJOCの山下泰裕会長は「スポーツ界全体で卑劣な行為を撲滅していく。来年は自国開催の東京五輪・パラリンピックが控えている。アスリートが安心して競技に打ち込める場をつくるのが、多くの方々に楽しんでいただくために不可欠」と強調した。7月ごろ、一部競技団体に選手から被害防止の訴えがあり、JOCは実態把握を進めてきた。

各団体はホームページ上で声明を掲載するほか、競技会でも注意喚起をしながら被害防止に努める。JOCは悪質な投稿などを見つけた場合に通報できる特設サイトを開設。集まった情報をもとに、関係団体間で意見交換しながら対策も検討していく。

アスリートが自ら投稿した写真を悪用される事例もあることから、研修会などを通じて注意を促していく。JOCの籾井圭子常務理事は「誰しもがスポーツを心から楽しめる場をつくるのはスポーツ界の使命。実態把握をして協議しながら継続的に動いていきたい」と説明した。

スポーツ庁の室伏広治長官(手前左)に協力を要請し、記者会見したJOCの山下泰裕会長(同右)=共同

競技団体、取り締まり努めるも限界

「どうにかなりませんか」。7月末、複数の現役女子選手から、日本陸上競技連盟のアスリート委員会に相談が持ち込まれた。競技会場で、胸やお尻など体の一部分を無断で撮影される被害を訴えるものだった。

中には一般的な競技中の写真に淫らなコメントをつけてSNSに投稿される事例もあり、同連盟法制委員会の工藤洋治弁護士が調べると、相談事例以外にも幾つもの悪質な投稿が見つかった。「以前から対策してきたが、どんどん内容が悪質化している」と語る。

スポーツ界では長年問題視されており、各競技団体は自衛に努めてきた。日本体操協会ではインターネットや雑誌での選手の望まない画像や動画の掲載を防ぐために、2004年から協会主催の大会での一般撮影を原則禁止した。日本水泳連盟でも20年以上前から会場内での撮影規制を実施しているほか、撮影を監視するスタッフを配備するなどの対策を取る。

ただ、運営側の取り締まりには限界があり、SNSに関してはなおさらパトロールが難しいのが実情だ。日本中学校体育連盟の新宮領毅事務局長は「競技後すぐジャージーを着せるなど、予防線を張って選手を守るしかない。法令的なものがないと(被害を無くすのは)厳しい」と話す。

現状、盗撮行為は刑法では規定されておらず、各都道府県の迷惑防止条例で取り締まっている。ただ、条例の「盗撮」とは衣服の中の下着や体を撮影する行為で、アスリートのユニホーム姿の「盗撮」は犯罪に当てはまりにくい。法務省の性犯罪に関する刑事法を見直す検討会では「盗撮罪」の創設が議論されており、こうした問題も論点の一つとなりそうだ。

SNSや掲示板での悪質な投稿者への法的手段もハードルが高い。プロバイダー事業者に発信者情報の開示請求を行うなど現行法では、多大な時間と労力がかかる。性暴力被害に詳しい上谷さくら弁護士は「ネット上の名誉毀損を集中して取り締まる法律が求められる。競技団体も相談窓口を設置するなど、選手のサポート体制をつくる必要がある」と話している。(堀部遥)

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