スー・チー氏の与党が過半数 ミャンマー総選挙

【ヤンゴン=新田裕一】ミャンマーの選挙管理委員会は13日、8日投票の総選挙(上下両院選)で与党、国民民主連盟(NLD)が計346議席を得たと発表した。非改選を含む両院計で過半数の維持を決めた。党首で民主化指導者のアウン・サン・スー・チー国家顧問(75)は2015年の前回総選挙に続き、NLDを大勝に導いた。同氏の政権は2期目に入る。
選管によると、日本時間13日午前11時半時点で確定した議席数は412。このうちNLDは346、国軍系の最大野党の連邦団結発展党(USDP)が25、少数民族政党は41だった。上下両院のそれぞれ25%を占める非改選の軍人議員を含めての過半数は今回、322議席だった。本来の改選対象は498議席だが、「治安上の理由」から22議席で投票が見送られたためだ。
NLDは前回総選挙で両院計390議席(非改選含めた定数664)を獲得し、軍事政権の流れをくむUSDPに圧勝して歴史的な政権交代を実現した。スー・チー氏は党首だが、亡夫が英国籍だったため、両院で多数派が選ぶ国家元首の大統領にはなれなかった。代わりに国家顧問兼外相として事実上の政府トップとして政権を率いた。
今回の総選挙はこの5年間のスー・チー政権への初めての審判だった。
スー・チー氏の与党は5年前、武力衝突を繰り返していた国軍と少数民族の和平、国軍の政治関与を弱めるための憲法改正を柱とする公約を掲げて圧勝した。だが、いずれも実現にはほど遠い状態だ。インフラ整備を軸とする経済改革も国内外の企業の期待ほどには進んでいない。人口の3割を占める少数民族の一部にはスー・チー政権への失望が広がっていた。