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子も高齢者も地域医療で安心を 「正しい理解」啓発

田所裕二さん(3)日本てんかん協会事務局長

日本書紀、ハンムラビ法典、皆さんも歴史の授業で一度は耳にしたことがある古典資料。洋の東西で最古ともいえる文献に、てんかん発作の記述がある。これほど古くから私たちの近くにあったが、病気として医学的に確立したのは19世紀の中ごろのことだ。それまで、その異様な症状(いわゆる大発作の症状)から「悪魔つき」「キツネが憑(つ)いた」と言われ、魔女狩りの犠牲や「座敷牢(ろう)」への隔離など医療とはかけ離れた闇の時代が続いてきた。

 たどころ・ゆうじ 北海道出身。大学2年だった1981年の国際障害者年に障害や病気のある人の支援活動に参加したことをきっかけに日本てんかん協会に関与。てんかんのある人と家族を支えるソーシャルワーカーとなり、2007年から現職。

てんかん医療は発展し、日本でも比較的予後の良い神経疾患と言われるようになった。しかし、検査、治療は進んでもその多くで原因が分からない。「どうして私がてんかんになるの」「うちの家系にはいないのに」という当事者、家族の不安は今も残る。てんかんへの正しい理解が進まない一因でもある。

てんかんの約7割は薬物治療などで症状を抑制できる。しかし適切な診療に出合うまでに、かなりの寄り道を強いられる人が多い。日本のてんかん診療は、主に小児神経科、精神科、脳神経内科、脳神経外科で行われる。てんかん専門医は全国に約700人しかおらず、地域の格差も大きい。てんかんが疑われるとき、住んでいる地域でどこの医療機関を受診するのがよいか分からないケースも多い。「近くに専門病院はありますか」と切迫した若い母親の声が、今日も協会相談ダイヤルに響く。

てんかんへの理解を求めるポスター

インターネット社会は情報が氾濫し、正しい情報が分かりづらい。現在、行政と医療機関そして当事者・家族が、どこに居ても安心して利用できるてんかん診療のネットワーク作りに各地で取り組んでいる。2021年度には、全国25道府県での実施に期待がかかっている。

てんかんは乳幼児期から10代に発症する人が多いが、成人も発症する。特に最近は高齢者の中に発症する人が増えている。

長寿社会で脳血管障害や認知症などが増え、脳の異常からてんかんを発症する。てんかんの症状だと気付かない人も多く、子どもがかかると信じる高齢の男性は「私はてんかんなんかではない、ただこの意識障害を治したいだけ」と拒絶反応を示すこともある。誰もが「てんかんでよかった。病院に相談してくる」といえる、当たり前の地域医療とてんかんへの理解が広まるように活動を続けている。

日本てんかん協会は冊子などで啓発に取り組む

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