岩手銀行、マイナンバーカードとスマホで融資実験

岩手銀行などは、マイナンバーカードとスマートフォンだけで融資やローンなどの契約ができるサービスの実証実験に乗り出す。同カードを使った電子契約は一部の金融機関が住宅ローンに導入しているが、融資などの法人契約には対応していないという。2021年度前半に実験を行い、コスト面など事業化への課題を探る。
実証実験には、同行などが出資するスタートアップのフィッティング・ハブ(FTH、盛岡市)と日本IBM、NECが参加。FTHが運営する金融サービス基盤を使い、電子契約のセキュリティー確保へ日本IBMのブロックチェーン(分散型台帳)技術を、マイナンバーカードの認証にNECのサービスをそれぞれ利用する。
融資のほか、住宅や自動車などの個人向けローン、同行に口座を持つ個人客や取引先の法人間の賃貸借契約や請負契約などを対象に実験する。法人から権限を委任された担当者が専用アプリを起動したスマホにマイナンバーカードをかざすなどして本人確認したうえでアプリを操作すると、融資などの契約が簡単にできる仕組みだ。
利用客側では契約の際に実印が不要になり利便性が向上するほか、書面による契約にかかる印紙税も不要になり、負担軽減につながる。印紙税は例えば5千万円超1億円以下の契約で6万円、1億円超の場合で10万円かかるという。
銀行側も融資やローンなどに関する金銭消費貸借契約証書の保管や返却が不要になるほか、実印と照合する必要もないため、コストを削減できる。さらに、こうした証書類を紛失するリスクがなくなるメリットもある。
同行などは11月から21年3月にかけてシステムを構築し、同4~9月に実際の利用状況を想定した検証をする。他行や他社、関係機関にも広く参加を呼びかけており、運営コストなど事業化に向けた課題を探る。