SMIC「売上高1割減」 10~12月、米の対中制裁で
【北京=多部田俊輔】中国の半導体受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)は、2020年10~12月期の売上高が7~9月期に比べ1割減少するとの見通しを明らかにした。トランプ米政権の中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に対する制裁の影響とみられる。SMICは代替の顧客獲得を急ぐ。

SMICは11日に7~9月期決算を発表した。売上高は10億8200万ドル(約1100億円)と前年同期比33%増、純利益は2億5600万ドルと2.2倍になった。決算資料で、10~12月期の売上高は前四半期に比べ10~12%減少するとの見通しを示した。12日の電話会見で高永崗・最高財務責任者(CFO)は「出荷量の減少だ」などと説明した。
7~9月期は米国の規制強化を受けてファーウェイ向けは駆け込み需要が発生したとみられる。回路線幅が14ナノ(ナノは10億分の1)メートルの技術を使った半導体を製造する設備は、主にファーウェイ向けに使っていたとされ、今後は稼働率が低下するとの見方も出ている。
対応策について、梁孟松・共同最高経営責任者(CEO)は「工場の用途転換は経済的ではない。積極的に顧客を開拓し、すでに10社余りの顧客と話し合っている。2~3四半期以内には計画していた(稼働)水準に達するだろう」との見方を示した。スマートフォン向け以外にも自動車や人工知能(AI)向けの顧客拡大もめざす。
米商務省がSMICの一部の取引先に対して輸出の事前許可を求める規制を始めたことについて、梁共同CEOは「一部の設備と部品、原料などで輸出許可が必要になっており、到着が遅れたり、不確実性が出たりしている」と明らかにした。
事前許可が必要となっている設備などについて、趙海軍・共同CEOは「成熟した技術もあれば、先進技術もあり、両方とも影響を受けるだろう」と、対象が広範囲に広がっていると説明した。