バイデン氏、政権人事に着手 トランプ氏は遅延戦術
【ワシントン=中村亮】米大統領選で当選を確実にした民主党のバイデン前副大統領は11日、政権人事に着手した。政権の要の大統領首席補佐官に腹心のロン・クレイン氏(59)を起用すると発表した。ホワイトハウスでの勤務経験が長く、旧知の仲のクレイン氏の起用からは政権運営の安定を最優先するバイデン氏の意向が透ける。

バイデン氏が当確後に政権人事を発表するのは初めて。クレイン氏は弁護士出身の政治コンサルタントで、上院議員時代のバイデン氏と1980年代後半から付き合いがある。オバマ政権で副大統領を務めたバイデン氏の首席補佐官を務め、クリントン政権でもゴア副大統領の首席補佐官に就いた。
首席補佐官は大統領の日程や面会を管理し、法案や予算成立に向けて議会との調整役を担う閣僚級ポスト。政権の高官人事にも深く関わる。日本の官房長官に似た存在ともいわれる。トランプ政権では代行を含めて首席補佐官が次々と退任し、現在のメドウズ氏は4人目。不安定な政権運営の象徴とみられている。
トランプ氏は12日、ツイッターで「我々はジョージア州でも勝利する!」と書きこんだ。同州で手作業での得票の再集計が決まり、トランプ氏の選挙陣営は「(透明性確保に向けた)最初のステップだ」と歓迎した。選挙不正を訴え、大統領選での敗北を認めない姿勢を改めて示した。
トランプ陣営は一般投票での勝利が難しいと判断し、選挙結果の認証を遅らせようとしているもようだ。各州は法律が定める認証期限に間に合わないと、大統領候補に投票する選挙人の指名が難しくなる恐れがある。過半数の選挙人を得る候補がいなければ、連邦議会下院が大統領を選出する可能性も取り沙汰される。
日経電子版の「アメリカ大統領選挙2020」はアメリカ大統領選挙のニュースを一覧できます。データや分析に基づいて米国の政治、経済、社会などに走る分断の実相に迫りつつ、大統領選の行方を追いかけます。