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卓球Tリーグ17日開幕 新トップに聞く3季目

星野理事長は「選手たちは久々のリーグ戦を心待ちにしている」と語る(9月のオールスター戦)=共同

卓球のTリーグは17日、3年目のシーズンが開幕する。新型コロナウイルス禍で前季はレギュラーシーズンこそ全試合を消化できたが、シーズンを締めくくるファイナルが中止となった。今季も年内は全てリモートマッチ(無観客試合)で実施する。7月に松下浩二・前チェアマンからトップの座を引き継いだ星野一朗理事長(65、日本卓球協会専務理事)は「我慢のシーズンになるが、何とか卓球の魅力を伝えられる1年にしたい」と語る。

星野新理事長(左)は松下チェアマンからトップを引き継いだ((C)T.LEAGUE)

昨季より約3カ月遅れで新シーズンのスタートにこぎつけることはできたものの、卓球界もコロナの影響は随所に出ている。Tリーグが誇る海外トップ選手の参戦もその一つだという。

「例えば、韓国は李尚洙(男子世界ランキング22位)や梁夏銀(2015年世界選手権混合ダブルス優勝)ら代表クラスの選手がTリーグでプレーしているが、延期に延期を重ねた世界選手権団体戦(釜山)の開幕を2月末に控えている。韓国卓球協会としては、自国開催のビッグイベントを前に選手が感染リスクを冒してまで海外の試合に出ることに賛成というわけにはいかないようだ。しかもTリーグは東京五輪の出場枠や本番のシードに関わる世界ランクの昇降に影響する大会ではないからなおさらだろう。香港も同様のスタンスだと聞いている」

「開幕戦からの数試合は国際卓球連盟(ITTF)が8カ月ぶりに再開した国際大会(男女のワールドカップとファイナル、中国で開催)とも重なった。日本入国後に求められる14日間の自主待機は条件つきで免除されそうだが、早くてもプレーできるのは12月に入ってからになる。張本智和(木下マイスター東京)や石川佳純(木下アビエル神奈川)ら国際大会に出ている日本勢も同様。Tリーグは『世界最高レベルの卓球を身近に』と掲げていて、実際世界ランク上位30位以内の選手が何人もプレーしている。そういう意味では、コロナの影響はコート内にもかなり残っている」

張本ら日本代表の数人は中国で開催中の国際大会に出場中で、早くて12月からのプレーとなる=共同

レギュラーシーズンは男女各4チームが7回戦総当たりで行われ、全84試合を実施する。そのうち年内に消化する45試合は安全を最優先に全てリモートマッチで行うことに決めた。昨シーズンは約8万3000人、一昨季は9万人超の観客を集めただけに、無観客開催は興行上でも痛い。ファンの関心をつなぎ留めるためにも、3季目はライブ配信の充実に力を入れたいという。

「今年3月にスポンサー契約を結んだNTTドコモと様々な映像配信の工夫を考えている。卓球はコンマ数秒内にコースや球種に変化をつけたラリーの応酬が続く世界。そのすごさをよりわかりやすく伝えるために、昨年から実験的にボールの回転数、回転軸、打球速度のデータを一部の試合中継で紹介していたが、今季は試合数をさらに増やす予定だ」

「9月にクラウドファンディングでの支援なども頂いて開催したドリームマッチ(日本代表とTリーグ選抜によるオールスター戦)では、プレー映像にほぼリアルタイムで光や火花のような『エフェクト』をかけた映像をつくる試みもした。視聴者からは賛否両論だったが、観戦の楽しさを引き出すようにブラッシュアップした形でシーズンでも行う準備をNTTドコモとしている」

「シーズン半分がリモートマッチとなったことで、観客動員の目標が立てづらい今季は『顧客接点数』という考え方を重視している。来場者(年明け以降の有観客試合の観客数)、ライブ配信の視聴者数(dTV、ひかりTV、アマゾンプライムビデオで全試合配信)、Tid登録者数(会員制度)の3つを合わせて20万人を今年度中の目標にしている。去年は観客数8万人を含めて13万~14万人ぐらいの数字だったことを考えると、やはりライブ視聴者を大きく伸ばしていく必要がある」

リーグは3季目を迎えるにあたり、体制も大きく変わった。構想段階から先頭に立ってきた松下チェアマンが7月で退任し、星野氏がバトンを引き継いだ(名称は理事長)。日本初のプロ選手として海外リーグでも活躍し、人気と知名度を誇った松下氏の下で、Tリーグはわずか2年で選手レベルや会場演出で最強中国や本場欧州の卓球リーグにひけをとらないリーグに成長した。一方で、先行投資を優先させたことからまだ赤字経営でもある。そこに押し寄せたのがコロナ禍という予想もしなかった荒波だ。日本協会専務理事の要職にもある星野氏は、この難局のかじ取りという重責を担っている。

「7月に理事長になってから新規のスポンサー開拓に回っているが、こういう状況下でなかなか厳しい(NTTドコモを含めて3社が新シーズンより契約)。当初の計画では1、2年目の赤字を3年目、4年目で回収していこうと思っていた。当初の想定通りでなくなったことは事実。ウィズコロナ下でのスポーツのビジネス価値を理解してもらい、企業の協賛意欲が戻ってくるまでの我慢だと思う」

「年明け以降の試合については、3季目で初めて各チームにホームゲームの興行主催を移管する。今までは会場の手配からチケット販売、試合当日の警備や演出など全てリーグ本体で行っていた。1試合当たり250万円ほど運営経費がかかっているが、各チームが地元業者などに発注することで経費削減にもつながると思う。既に先行して昨季から興行を主催している木下(男子の東京、女子の神奈川)は観客動員も多いし、ある程度うまく回っているとみている」

「私が理事長に就任したのは、日本協会とTリーグのタッグを強めるためでもある。実は今まで協会の理事の中には『Tリーグは別の組織ではないか』と冷たい人も少なからずいた。だが、Tリーグはそもそも10年ほど前に日本協会の中に『プロリーグ準備室』がつくられたのが始まりだ。Tリーグも苦しい状況にある今、スポンサーセールスなどを考えても、もっと協力体制を強くしていった方がいいと思っている。海外選手の獲得交渉やITTFのツアー大会とTリーグの日程調整などでも、協会が持っている情報をよりスピーディーかつダイレクトに生かせる」

(聞き手は山口大介)

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