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バイデン外交、国際協調まず欧州 安保・気候変動が軸

バイデン氏は欧州首脳らと相次ぎ電話会談した(10日、デラウェア州)=ロイター

【ワシントン=中村亮】米大統領選で当選を確実にした民主党のバイデン前副大統領が外交政策で政権移行の準備を加速している。10日には英独仏の首脳と相次いで電話し、安全保障や気候変動での協力を確認した。トランプ政権下で揺らいだ米欧関係の修復を外交の最優先課題に位置づける姿勢が鮮明になった。

「米国が戻ってきたと伝えている。米国は孤立しない」。バイデン氏は10日、地元の東部デラウェア州で欧州首脳との電話協議の内容について、こう強調した。

バイデン氏は同日、英独仏やアイルランドの首脳と安保や経済関係をめぐり電話協議した。9日にはカナダのトルドー首相とも電話した。7日に当選が確実となった後に電話した外国首脳はいずれも西洋諸国だ。米欧の同盟関係を重視するバイデン氏の外交方針が浮かび上がる。

トランプ政権下の4年間で米欧関係には大きな亀裂が入った。米ピュー・リサーチ・センターが2020年夏に13カ国で行った調査によると、「米大統領が世界情勢に関して正しいことをするとの自信がある」との回答は、ドイツで10%、フランスで11%だった。

オバマ政権末期の16年に比べてそれぞれ76ポイント、73ポイント下がった。日本では同53ポイント、オーストラリアでは同61ポイント下がったが、欧州での米国への信頼失墜の度合いが大きい。

米欧の関係修復の具体策になるのが、トランプ政権が国際枠組み「パリ協定」から離脱した気候変動対策だ。英国のジョンソン首相は電話で、21年11月に英国で開催予定の第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)にバイデン氏を招待した。

バイデン氏は21年1月20日の政権発足と同時にパリ協定に復帰宣言する意向だ。化石燃料への依存を下げて「脱炭素」の経済をめざす方針は欧州諸国と共通する。

安全保障面でも、バイデン氏は欧州首脳に対し、北大西洋条約機構(NATO)の連携を強化する方針を伝えた。

トランプ氏はNATO加盟国の多くが国防費支出を国内総生産(GDP)の2%以上に引き上げる目標を達成していないと批判し、NATO同盟の根幹である集団防衛の義務を履行しない可能性を公然と示していた。米欧の足並みの乱れは欧州が最大の軍事的脅威とみなすロシアに隙を与えかねない。

国防費支出の目標はオバマ前政権時代の14年にNATOが合意したものだ。バイデン政権も国防費支出を増やすよう欧州に引き続き求める公算が大きい。しかし元国務省高官は「米国の集団防衛への確約が揺らぐほどの欧州批判は公の場で控えるだろう」とみる。

欧州との連携は中東政策を進めるうえでも不可欠だ。バイデン氏はトランプ政権が離脱したイラン核合意への復帰を探る半面、合意の対象外となっている弾道ミサイル開発や人権侵害の停止をイランに促す考えだ。復帰条件をイランと交渉する場合には、核合意参加国の英独仏との事前の擦り合わせが必要になる。

内戦が続くシリアをめぐってもトランプ氏は米軍の完全撤収を突然表明し、のちに撤回して混乱を招いた。治安悪化に伴ってシリアからの難民の欧州流入が急拡大して「難民危機」が再発する事態を恐れる欧州諸国はトランプ氏の独断に懸念を強めていた。

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