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化学大手の損益改善 7~9月、車や住宅向け回復

塩ビや樹脂などの石油化学製品をつくる化学大手各社の業績が復調している。大手7社が11日までに発表した2020年7~9月期連結決算は、4~6月期に比べて6社で最終損益が改善。合算すると775億円の黒字と4~6月期の4倍の水準になった。自動車や住宅関連など幅広い産業向けに製品需要が戻りつつある。経済再開が早かった中国向けを中心に今後も業績改善を見込む企業が多い。

「最初に回復したのは中国だった。北米や欧州でも想定を上回るスピードで回復している」。11日のオンライン会見で三井化学の中島一最高財務責任者(CFO)は自動車関連市場の復調ぶりに自信を示した。

同社の20年7~9月期の純利益(国際会計基準)は119億円と前年同期に比べて52%増えた。4~6月期は23億円の赤字だった。通期予想についても計画の上方修正を公表済み。下期(20年10月~21年3月)の純利益は233億円と上期の2.4倍の水準を見込む。

多くの化学メーカーの業績を左右するのが自動車向け部材だ。内装材やバンパー、エンジン回りなどの部品に樹脂・繊維製品が使われている。21年3月期の純利益予想を10月30日に100億円引き上げた住友化学は7~9月期になって「回復の兆しが見られる」(佐々木啓吾常務執行役員)。

住宅関連も戻り調子にある。配管や建材に使う塩化ビニール樹脂で世界シェアトップの信越化学工業は、4~5月の値下がり分を値上げによって既に取り戻した。足元では「11月の販売も北米を中心に大変堅調で、値が崩れることはない」(斉藤恭彦社長)という。国内市場については「請負住宅の引き渡しが想定よりも順調に進んだ」(旭化成の柴田豊副社長)という例もある。

信越化学や旭化成なども含め大手7社(昭和電工は12月期、他は3月期)の7~9月期は営業利益ベースで全社が改善した。傘下の創薬ベンチャー関連で845億円の減損損失を計上した三菱ケミカルホールディングスの場合、本業のもうけを示すコア営業利益は396億円と4~6月期から2.6倍に増えた。

各社とも回復が依然鈍い製品もある。例えば鉄鋼生産に使う材料。鉄スクラップを溶かす電気炉に使う黒鉛電極でシェア首位の昭和電工は「一段と減産を強化した」(竹内元浩CFO)。医療関連ではコロナ禍で「医療機関での受診や検査が減った」(東ソーの米沢啓経営管理室長)。欧米や中国を中心に体外診断用医薬品の出荷が減った。衣料品に使う繊維製品も、コロナ禍の需要減で「インドを中心に民族衣装などで影響を受けている」(旭化成の柴田氏)。

足元でのコロナ感染の再拡大も懸念材料だ。現時点で米欧の生産拠点の休止といった影響は出ていないものの、購買意欲など「消費者心理では大きな影響が出る可能性がある」(三菱ケミHDの伊達英文CFO)との見方もある。

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