セントラル・リテールCEO「消費行動コロナで一変」
世界経営者会議
タイ小売最大手セントラル・グループ傘下、小売り統括会社セントラル・リテール・コーポレーション(CRC)のヨン・ポカサブ最高経営責任者(CEO)は11日、第22回日経フォーラム「世界経営者会議」で講演した。新型コロナウイルスの感染拡大を機に「消費の場が店舗から自宅に移り、消費行動のディスラプション(創造的破壊)が起きた」と述べた。

セントラルは国内外で百貨店から大型スーパー、コンビニ、ドラッグストアなど約5千店を展開する。タイでは新型コロナの感染拡大を抑え込むためにロックダウン(都市封鎖)が導入され、オンラインで注文して料理や荷物を届けてもらうサービスが急増した。
CRCでもドライブスルーなどオンラインで注文した商品を車に乗ったまま受け取れるサービスを始めたことを紹介した。実店舗も持つ強みについて「私たちのビジネスはオフラインからスタートしたが、オンラインだけでは匂いも味もわからない。両方を組み合わせれば補完しあえる」と強調した。
三越伊勢丹ホールディングスは1992年に開業した首都バンコクの伊勢丹を8月に閉店した。タイには多くの日系小売企業が出店しているが苦戦していると指摘する。理由について「日常的に手の伸びる価格帯の商品ではなかった。適切なターゲット設定で、もう一度戻ってきて欲しい」と述べた。
CRCは今年2月、タイで過去最大の新規株式公開(IPO)を果たした。上場で得た25億ドル(約2600億円)を使い、「まずは店舗の改装や提携先の拡大など既存ビジネスを強化する」。M&A(合併・買収)については「チャンスがあれば他国の案件でも検討したい」と述べた。