TikTok運営会社、事業売却の期限延長を申し立て
【シリコンバレー=奥平和行】中国発の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の運営会社は10日、米国事業の売却期限の延長を首都ワシントンの連邦控訴裁判所に申し立てた。売却に関する米当局などとの交渉が長引いて期限の11月12日が迫っており、事業を継続しながら最終決着させるには裁判所の介入が必要と判断した。

運営会社の米ティックトックと親会社の北京字節跳動科技(バイトダンス)が共同で売却命令の見直しを申し立てた。バイトダンスなどは米国事業を米IT(情報技術)大手のオラクルなどが設立する新会社に移す方向で9月に大筋合意したが、調整が長引いていた。
トランプ米政権は米国で1億人超の利用者を抱えるティックトックに安全保障上の懸念があるとし、8月14日に署名した大統領令で11月12日までの売却を命じた。大統領令では最大30日間の延長を認めているものの、米財務省などが管轄する対米外国投資委員会(CFIUS)の承認が得られていないという。
ティックトックの広報担当者は声明で、「大統領が(9月に売却案を)原則承認してから最終合意に向けて懸念の解消策を提案してきたが、実質的な回答が得られていない」と説明し、「当社と1500人超の米国従業員の権利を守るためやむなく嘆願書を出した」と理解を求めた。
ティックトックをめぐっては、大統領令に基づいて米商務省も11月12日を米国企業によるサーバーなどの提供期限としていた。利便性が大幅に下がって実質的な利用禁止措置になるとみられていたが、米国の利用者が一時差し止めを求めてペンシルベニア州の連邦地裁に提訴し、10月末に原告側の主張を受け入れる判断を下している。