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日銀、地銀に早期決断迫る 再編支援で菅政権と足並み

日銀は地方銀行の再編後押しで政府と歩調を合わせた(東京都中央区)

日銀が10日に導入を決めた地域金融機関向けの新制度は経営統合を条件の一つにする異例の内容だ。当座預金に年0.1%の金利を上乗せする支援策を3年の期間限定で設け、地方銀行などに早期の決断を迫る。地銀が判断を先送りすれば地域経済の苦境が深まるとみて、菅義偉政権とともに再編を後押しする姿勢を鮮明にした。

「できるだけ早期に取り組んでもらうための制度だ」。日銀の高口博英金融機構局長はこう強調した。地域の人口減少に新型コロナウイルスの打撃が加わり、地銀を取り巻く環境は厳しさを増している。新型コロナの感染者は気温の低下に伴って国内でも再び増えており、経済の停滞が長引くリスクも高まる。

日銀はこのまま放置すれば、金融機関の経営がさらに悪化し、貸し渋りなどを通じて実体経済にも悪影響を及ぼすと危機感を募らせていた。経営体力の強化に向けた早期の決断を促すため、2022年度までの3年間を集中改革期間とした。

日銀が年0.1%の金利を上乗せする条件として、経営基盤の強化に向けた(1)収益力の向上や経費削減(2)経営統合――の2つをあげた。

収益力の向上などの指標とするのは、本業の粗利益に対する経費の割合(OHR)だ。19年度と比べた22年度の改善率が4%以上になることをメドにする。経営統合は23年3月末までに機関決定し、日銀が経営基盤の強化につながる計画だと確認することが条件だ。

全ての地銀と信用金庫の当座預金に年0.1%の金利を上乗せした場合、年400億~500億円を金融機関側が得るという。19年度の地銀と信金の純利益は合計約9千億円で、日銀の支援は5%に相当する規模だ。

日銀は金融政策として0.1%のマイナス金利を課している。日銀の高口局長は今回の支援策は「地域の円滑な金融仲介機能の発揮を促すもの」と繰り返し、金融政策ではないことを強調したが、マイナス金利政策の副作用対策でもあるのは明らかだ。

日銀の新制度について、野村総合研究所の木内登英氏は「かなり踏み込んだ内容で、政府に寄り添って経営統合を後押しする姿勢を示した」と指摘した。

これまで政府側では、金融庁が地銀に統合や経費削減などの経営改革を強く促してきた。27日には同一県内の地銀の統合を独占禁止法の適用除外とする特例法が施行される。金融庁は再編などで財務の健全性が高まった地銀を対象に預金保険料を引き下げる仕組みも検討している。

金融庁幹部は「コロナ禍に苦しむ地方を支える地域金融機関の役割は大きい。日銀と協調しながら経営基盤の強化を求めていきたい」と話す。

銀行側は複雑な反応を示す。佐賀銀行の坂井秀明頭取は10日、日銀の新制度に「そのことで、そちら(再編)に舵(かじ)をとることはない」と述べた。一方で「結果的な支援にはなると思う。否定はしない」と制度に一定の理解を示した。

関西みらいフィナンシャルグループの菅哲哉社長は同日の記者会見で「このために再編することはないが、一つのサポート要因にはなる」と述べた。地銀が重い腰を上げるのかはまだ見通せない。

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