台湾の半導体生産、20年は2割増の12兆円 過去最高
【台北=中村裕】台湾の2020年の半導体生産額が前年比21%増と大幅に増え、過去最高の3兆2185億台湾ドル(約11兆8500億円)になる見通しとなった。台湾当局の調査機関の調べで分かった。過去10年間で最大の伸びとなる。21年も半導体に強い日系企業との連携強化で4%増の成長を見込んでいる。

台湾当局のシンクタンク、産業科技国際策略発展所(ISTI)が調査結果をまとめた。それによると世界の半導体生産(設計含む)は20年に約57兆円に達し、シェアは首位が米国で43%、2位は台湾で20%、3位は韓国で16%と予測した。
台湾の生産が大きく伸びる背景には、半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が技術で一段と先行し、米アップルなどの注文が殺到していることがある。さらに華為技術(ファーウェイ)など中国に対する米制裁の影響で半導体の生産委託先が一段と台湾に向かっていることがある。
好調な受注継続で、TSMCは今年、前年比で14%増の約1兆8千億円の設備投資を予定する。
台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統も「台湾を世界最先端の半導体の中心地にする」と述べており、当局も支援に乗り出した。投資台湾事務所(InvesTaiwan)は10日、日本のみずほ銀行と、日系企業の台湾投資を促進する協力の覚書(MOU)を結んだと発表した。みずほ銀行が台湾当局と日本の半導体企業の間に入り、投資を円滑に進める。
日系は半導体の製造装置や素材に強い。既に100社以上が台湾に進出し、TSMCなどの生産を支えている。ただTSMCの生産が好調で「日系サプライヤーの生産能力は限界に近く、TSMCからさらなる強い日系の台湾進出の要望がある」(みずほ銀行の木原武志・台北支店長)という。
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