KPMGジャパン森氏「会社の存在意義、内外に明示を」
国際会計事務所グループKPMGの日本拠点でチェアマンを務める森俊哉氏は10日、第22回日経フォーラム「世界経営者会議」で講演し、「企業はパーパス(存在意義)を社内外に明示して、経営に生かすことが必要だ」と述べた。コロナ禍のような大きな環境変化のなかでは、意思決定や行動の羅針盤とするため、パーパスの策定が有効になると指摘した。

森氏は日本企業の海外展開を支援する組織「グローバル・ジャパニーズ・プラクティス」の統括責任者を兼任。税務、会計、リスク管理など約800人の専門家を率いている。
KPMGが世界のグローバル企業の最高経営責任者(CEO)に対して実施した調査では、8割弱がパーパスの重要性を認識していたが、日本の経営者では約半数にとどまったという。森氏は「グローバルと日本の経営者で意識に差がある」と指摘した。
日本企業は創業精神を重視しているケースが多いが、それだけでは行動を起こしたり、海外拠点に伝えたりすることは難しいという。各ステークホルダー(利害関係者)との関係を踏まえた具体的なパーパスを、取締役会が議論した上で社内外に明示して、経営に生かすことが必要だと訴えた。
KPMGは世界約150カ国・地域のグループ拠点を通じて監査や税務、M&A(合併・買収)の助言業務などを提供する。森氏は日本で総合商社、鉄鋼、ガラス業界などの監査業務に従事し、国際会計基準(IFRS)への移行や、M&A(合併・買収)アドバイザリーを務めてきた。