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花もパトロンもない 未体験のマスターズが始まる

ゴルフジャーナリスト 地平達郎

開幕を前に、練習ラウンドを行うタイガー・ウッズ。背後には紅葉が広がる=AP

今週のゴルフ界は、コロナ禍で延期開催となり、現地時間11月12日(木)に開幕するマスターズトーナメントで盛り上がるだろう。

例年行われている4月と11月とではいったいどう違うのか、興味深いところだ。

コースを彩る華やかさのない秋の開催

全米オープン、全英オープン、全米プロなど、他のメジャー大会は毎年開催コースが変わるが、マスターズだけは4月第2週にオーガスタ・ナショナルでの開催と決まっている。理由は、コースのあるジョージア州オーガスタにとって、ほぼ最高の季節だということがある。

米国ディープサウス(深南部)に位置するオーガスタの、4月半ばの日中の気温は20度前後でゴルフにもってこい。さらに、キリスト教で最も大切な日とされる、春の到来を告げるイースター(復活祭)とも重なる。

そして何より、コースがきれいなのだ。18ホールすべてに花や木の愛称がつけられているとおり、ツツジ(アゼリア)や花水木(ドッグウッド)、泰山木(マグノリア)などが赤、白、ピンク、紫などコース内を彩り、色を競い合う。

残念ながら、今年はカラフルな花の競演は見られない。平均気温も4月に比べると3度から5度低いといわれる。大会が近づくにつれての現地からの情報では、コースは木々の紅葉が始まっているという。春の色鮮やかな華やかさとは違って、赤や黄色の落ち着いた秋の風情を楽しめるのかもしれない。

マスターズといえばもうひとつ。咲き誇る花に負けないほど鮮やかな色のウエアを着たギャラリー(マスターズではパトロンと称される)たちがコースを飾る。他のトーナメントと違って企業などのスポンサードに頼らず、これらパトロンたちのチケット購入代金やグッズ売上金、放映権料などで賞金を含めたすべての経費をまかなっている。

練習ラウンドの18番でティーショットを打つジャスティン・トーマス。例年は練習日からパトロンが詰めかけるが、今年は無観客で行われる=ロイター

昨年の賞金総額は1150万ドル(約12億750万円)。14年ぶりに5度目のグリーンジャケットを着たタイガー・ウッズの優勝賞金は207万ドル(約2億1700万円)と、米ツアー最高額のひとつとなっている。

登録されているパトロンの人数は公表されていないが、数多くの人がウエーティング状態で、フットボールのスーパーボウルなどをもしのぐ「プラチナチケット」である。

歓声のないマスターズ、選手に戸惑い?

練習日から連日3万人以上がコースに詰めかけ、スタート前の朝早くからお目当ての13番アーメンコーナーなどにイスを手に走って行って席取りし、何時間も選手が来るのを待っている。やがてトーナメントが佳境に入り、バーディーやイーグルが出ると、そのホールを取り囲んだギャラリーから地響きのような大歓声が上がる。それを聞いた別のホールにいる選手たちは、方角と歓声の大きさで、どのホールで誰が取ったかわかるほどだ。

まさに「コースを埋め尽くす」という表現がぴったりのギャラリーは選手とともに「主役」として大会の風物詩となっている。

しかし今年はコロナ禍で無観客開催となり、あの大ギャラリーがコースにいない。

静寂の中でショットの音だけが響くオーガスタ・ナショナル。映し出される光景がどんなものなのか興味は尽きないが、それ以上に選手たちは戸惑うだろう。練習日からの満員のギャラリーを目の当たりにしてマスターズに出場したことを実感し、あるいはそれに慣れている選手たちは、観客も歓声もない秋のマスターズをどう感じるのか。

あるベテランプロはこんなことを言っている。「ギャラリーのいないマスターズはイメージできない。競技についていえば、4月よりも確実に寒いだろう。天候にもよるが、気温が低い中でのプレーに慣れている選手が有利だ」

はたしてどんな大会になるのか、開幕が待ち遠しい。

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