米司法長官、選挙不正の捜査促す 米メディア報道

【ワシントン=中村亮】バー米司法長官は9日、大統領選での不正疑惑に関する捜査を促す書簡を全米の検察官に送付した。複数の米メディアが報じた。各州が選挙結果を正式に認証するまで不正疑惑をめぐる聴取や資料提出の要請を控える司法省の指針を覆し、早期の捜査を促すものだ。
バー氏は検察官への書簡で「大半の選挙不正疑惑は結果に影響を及ぼさず捜査を適切に先送りできる規模だが、全てがそうだとは限らない」と指摘。各州が選挙結果を確定する12月8日まで「投票や集計について実在する不正疑惑に関して追及することを認める」と強調した。東部ペンシルベニアや中西部ミシガン、西部ネバダ各州での疑惑を念頭に置いているようだ。
トランプ大統領は選挙不正を主張して敗北を認めず、激戦州で訴訟を起こしている。大統領選では不正疑惑について選挙陣営が裁判所で争うのが一般的だが、バー氏の書簡は検察が不正疑惑の証明に関与するよう促すものとも受け取れる。トランプ陣営の不正疑惑の主張は裁判所でおおむね認められていない。
米メディアによると、書簡の送付を受け、選挙不正を担当する司法省高官が辞任した。司法省は書簡についてトランプ氏の指示を受けたものではないと説明している。
バー氏はロシア疑惑でトランプ氏を「推定無罪」と断じたり、トランプ氏の側近の起訴を取り下げる方針を示したりしており、トランプ氏の最側近の一人とみられている。
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