HIS沢田会長兼社長「旅行会社、コロナで変容」
世界経営者会議

旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)の沢田秀雄会長兼社長は10日、第22回日経フォーラム「世界経営者会議」で対談し、「(新型)コロナの影響で海外旅行一本足では危ういことを痛感した」と話した。オンラインによるリモート(遠隔)トラベル、飲食店経営など新しい事業を打ち出しており、「将来は売上高に占める旅行の割合を現状の9割から2割に下げる」と旅行会社が変容する必要性を強調した。
格安航空券の草分けとして知られる同社は約40年間黒字だったが、「海外旅行がほぼゼロになった」ことで2020年10月期は318億円の最終赤字になる見通しだ。
苦境を脱しようと、手掛けているのがリモートトラベル。オンラインによる海外旅行で、海外のガイドが案内し、ネットで買い物もできる。費用は2千~3千円。「コロナがなければ生まれなかった企画。コロナ収束後もなくなることはないだろう」と話した。リモートで複数箇所を下見した上で、気に入ったところに行けば旅行の満足度が高まるとみている。
社員から新規事業のアイデアも募集した。数千件が集まり、十数件を事業化する予定だ。「無理強いでなく、社員の意思でやってもらっている。期待しているものの1つがそば屋で、100店を超えたら上場しようと思っている」と話した。
沢田氏はコロナ禍について「湾岸戦争、重症急性呼吸器症候群(SARS)など苦しいことは何度もあったが、過去最大のピンチ」と述べた。ただ、「ピンチの時ほど明るくしている。そうして頑張っていれば危機の後に成長することができる。(コロナ後は)HISは飛躍的に成長するだろう」と話した。