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東京フィルメックス、アゼルバイジャン作品に栄冠

最優秀作品賞「死ぬ間際」のヒラル・バイダロフ監督

アジアの新鋭監督の作品を紹介する映画祭、第21回東京フィルメックスは、アゼルバイジャンのヒラル・バイダロフ監督の「死ぬ間際」を最優秀作品賞に選び、11月7日閉幕した。

「死ぬ間際」は人を殺して逃亡中の男が様々な虐げられた女性たちに出会い、世界の現実と愛に気づく物語。霧がたちこめる荒涼としたコーカサスの自然を背景に寓話(ぐうわ)的、詩的に描いた。

バイダロフ監督は1987年生まれ。コンピューター科学を学んだ後、ハンガリーの巨匠タル・ベーラに師事した。劇映画2作目の受賞作品はベネチア国際映画祭のコンペにも選ばれた。上映後の質疑応答では「数学を学んだ私は理論的、科学的なものを信じてきたが、映画ではそれらを信じない。物語を信じ、直感に従って撮る。詩的でなければ映画ではない」と語った。

2本の日本映画も受賞した。審査員特別賞の池田暁監督「きまじめ楽隊のぼんやり戦争」は川向こうの町と戦争をしている架空の町の人々の日常をユーモアを込めて淡々と描きながら、大衆の無意識の危うさに鋭く迫った。学生審査員賞の春本雄二郎監督「由宇子の天秤(てんびん)」は、女子高校生の自殺事件に隠された真相に迫ろうとするドキュメンタリー監督が、身内が起こした事件への対応で苦しい選択を迫られる。平遥(ピンヤオ)国際映画祭、釜山国際映画祭に次ぐ受賞となった。

3作とも社会の矛盾を題材にしながら、単純な告発調でなく、深層にある個人の苦悩や大衆の狂気に迫っていた。台湾のコー・チェンニエン監督「無聲(むせい)」、アルメニアのノラ・マルティロシャン監督「風が吹けば」、イランのシャーラム・モクリ監督「迂闊(うかつ)な犯罪」も同様で、映画ならではの方法で現代の危うさを映し出した。

初の試みとして「死ぬ間際」「無聲」など、12作品が21~30日に有料で配信される。

(古賀重樹)

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