アンジェス、ゲノム編集の米社を買収 260億円で

大阪大学発のバイオ企業アンジェスは9日、ゲノム編集技術に強みを持つ米エメンドバイオを2億5000万ドル(約260億円)で買収すると発表した。すでに同社の発行済み株式の約4割を保有しており、追加取得し完全子会社化する。アンジェスは遺伝子治療の技術を使った医薬品やワクチン開発を重点分野と位置付けており、エメンドバイオの技術を取り込む。
アンジェスは12月15日付で、エメンドバイオの発行済みの全株式を取得する。エメンドバイオの株主には、アンジェスが新株を発行することで主な対価を支払う。エメンドバイオは武田薬品工業の関連企業も出資しており、買収後も武田とがん治療分野で共同開発を続ける。
エメンドバイオはイスラエルの研究機関の技術をもとに、2015年に設立された。ゲノム編集は生物の設計図である遺伝情報の狙った場所を切断し、正常な遺伝子に書き換える技術だ。エメンドバイオは切断に使う酵素を独自開発し、精度が高いとされる。市場規模の大きい米国を中心に、免疫不全の治療などで活用を見込む。
アンジェスは19年3月以降、エメンドバイオに計約5400万ドルを出資してきた。アンジェスの山田英社長は9日、都内で記者会見し、「エメンドバイオはゲノム編集の次世代のキープレーヤーだ。いち早く実用化を目指す」などと述べた。