/

米、国際協調へ転換 バイデン氏が政権移行加速

パリ協定・WHO復帰へ準備

(更新)
当選確実が報じられた後に登壇する民主党のバイデン氏とハリス氏(7日、デラウェア州)=ロイター

【ワシントン=永沢毅】米大統領選で当選を確実にした民主党のジョー・バイデン前副大統領(77)は8日、政権移行に向けた準備を加速した。脱炭素社会をめざし、現政権が離脱した温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に復帰する。同盟国軽視が目立ったトランプ政権の外交路線を改め、国際協調を重視する方針に大転換する。

バイデン氏は9日、政権移行に備えたウェブサイトで、医療専門家で構成する新型コロナウイルス対策チームを発足したと発表した。8日には同サイトで、政権の4つの重点課題として新型コロナ、経済再生、人種、気候変動を掲げた。「バイデン政権」が正式発足すれば、トランプ政権が破棄や脱退を表明した多国間の枠組みや国際機関に相次ぎ復帰する。

具体的には2021年1月20日の大統領就任初日にパリ協定への復帰を宣言。イラン核合意や世界保健機関(WHO)への復帰も準備する。

「大統領に就任したその日から各国首脳と電話をし、同盟国との関係を立て直す」。バイデン氏はこう訴える。トランプ政権はドイツやフランスといった北大西洋条約機構(NATO)加盟国や韓国に制裁関税を課すと脅しをかけ、一部を実行した。バイデン氏はこれらの国々との信頼関係の修復を優先する。

トランプ政権は同盟国との摩擦も多かったが、国際協調路線に転じれば潜在的脅威とみなす中国への圧力もかけやすくなる。バイデン氏は「民主主義国家を活気づけ、台頭する全体主義に立ち向かう」と強調し、21年中に民主主義国の首脳を集めたサミットを主催すると提案している。日本や英仏など主要7カ国(G7)を軸にインドなどの民主主義国家を集めた枠組みが想定される。

米中心の国際秩序の刷新を狙う中国を意識した。対中政策でバイデン氏は「貿易、人権、安全保障」と明示し、強硬路線で臨む。トランプ氏とは異なり、人権問題を重視するのが特徴だ。

新疆ウイグル自治区のウイグル族の大量拘束や香港における市民への抑圧などを批判し、対応を改めるよう求める。気候変動や北朝鮮核問題では協力の余地も探る。

移民政策では、トランプ氏が課した移民の入国を制限する政策を廃止する大統領令を用意する。現在はイスラム諸国を中心に計13カ国からの入国を規制している。

トランプ政権と共通するのは中東での関与の縮小だ。アフガニスタンやイラクにおける駐留米軍の早期撤収をめざす方針は変わらない。親イスラエルに偏重していた中東外交は一定の修正が働く可能性があるが、バイデン氏はエルサレムに移した米大使館はそのままにするとも表明している。

バイデン氏の準備に支障を来す可能性があるのがトランプ氏の動向だ。歴代の現職大統領は大統領選が終わると、勝利を収めた候補をホワイトハウスに招くのが慣例だ。懸案事項を引き継ぐためで、トランプ氏もオバマ前大統領から北朝鮮核問題などの説明を受けた。

トランプ氏は敗北を受け入れておらず、バイデン氏との会談のメドは立っていない。トランプ氏は就任前から「次期大統領」の立場で海外首脳と相次ぎ電話協議をしたが、バイデン氏は今のところその見通しもない。

アメリカ大統領選挙

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

日経電子版の「アメリカ大統領選挙2020」はアメリカ大統領選挙のニュースを一覧できます。データや分析に基づいて米国の政治、経済、社会などに走る分断の実相に迫りつつ、大統領選の行方を追いかけます。

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン