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カプセル建築、住まいの新概念を提案(古今東西万博考)

1970年・大阪

キッチンや寝室をカプセルのように凝縮した

地上30メートルの高さに、キッチンやベッドを備えた箱形の居住空間。1970年に大阪万博で建築家の黒川紀章氏らが手がけた「カプセル建築」は、経済発展がめざましい当時の日本で新しい住まいの概念を提案した。都市部に暮らす人々が動かぬ邸宅を所有するよりも、一人ひとりが住まいの空間を自由に持ち歩く、建築の「土地からの解放」を形にしたものだ。

70年代前後は住宅をその場でゼロから建てるのではなく、工場で一定程度作り上げるプレハブ住宅がちょうどトレンドだった頃。黒川氏は69年に「人間は動く民である」という説を発表。将来的には、家族単位ではなく、絶えず動き続ける個人がそれぞれに住宅を所有できるとした。それまでは玩具や薬の錠剤のイメージが強かった「カプセル」という言葉。黒川氏とともにカプセル建築に携わった建築家の阿部暢夫氏は「建築に取り入れたのは初めてでは」と振り返る。

その後、高度経済成長とともに、多忙を極めたサラリーマンの間でサウナ施設で雑魚寝する「仮眠ブーム」が到来。目を付けたニュージャパン観光(大阪市)がホテルに併設する2段ベッドの設計を黒川氏に頼んだところ、眠る空間を最小限に囲い込んだカプセルホテルが79年に誕生した。

「中銀カプセルタワー」も「カプセル建築の延長線」(阿部氏)だ。黒川氏らが万博後に手がけ、東京・新橋に現存する。高さ2.5メートルのコンテナを積み上げたような140戸の集合住宅だ。こちらも、今や当たり前に存在するワンルームマンションの先駆けとなった。

(川崎なつ美)

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