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スー・チー与党に初審判 報道担当「過半数維持」 ミャンマー総選挙

【ヤンゴン=新田裕一】8日投開票のミャンマー総選挙(上下両院選)で、民主化指導者アウン・サン・スー・チー氏の与党、国民民主連盟(NLD)の報道担当は9日、日本経済新聞に「独自集計で322議席以上を確保した」と述べた。非改選を含めた両院の過半数にあたる。事実ならばスー・チー氏を事実上の政府トップとする政権が継続することになる。

8日夜、ヤンゴンのNLD本部前でアウン・サン・スー・チー国家顧問の写真を掲げる支持者ら

報道担当のミョー・ニュン氏によると、各開票所に派遣した立会人などからの情報をもとに集計した。2015年の前回総選挙で大勝し、軍事政権の流れをくむ国軍系からの歴史的な政権交代を果たしたスー・チー氏の政権が初めての審判を受けた。NLDが単独過半数を維持できるかどうかが最大の焦点だった。

選挙管理委員会は9日午後4時(日本時間同6時30分)すぎ、NLDが下院の3議席を獲得したと発表した。

8日夜、最大都市ヤンゴンのNLD本部前には同党の勝利を確信する支持者ら約1000人が集まった。スー・チー氏の写真を掲げ、党旗を振り、「NLDが勝つ」と連呼した。家族と一緒に参加していた女性ウェイ・ウェイさん(45)は「スー・チー氏を心から信じている」と語った。

ミャンマーの選挙監視団体の8月の世論調査によると、スー・チー氏を「信頼する」と答えた人は79%で、19年3月の70%から上昇した。「自分の考えと最も近い政党はどこか」と聞くとNLDが39%を占めた。軍事政権の流れをくむ国軍系の最大野党、連邦団結発展党(USDP)の7%を大きく上回った。

NLDは前回総選挙でUSDPを下して与党になった。亡夫が英国籍のスー・チー氏は憲法の規定で上下両院が選ぶ大統領になれなかったが、国家顧問として事実上の政府トップに就いた。

ミャンマーでの報道によると、USDPは主に軍関係者の支持を受けた。しかし、人口の7割を占めるビルマ族の多くは独立運動の指導者の一人を父に持つスー・チー氏を強く支持した。同氏もビルマ族の出身だ。

スー・チー氏の政権は5年前に公約した少数民族和平、憲法改正を実現できず、経済改革も遅れ気味だ。不満を持つ少数民族には投票先をNLDから少数民族政党にかえる動きもみられるとされた。だが、ある少数民族政党の関係者は9日「得票は想定していたほど伸びなかった」と述べた。

ミン・アウン・フライン国軍最高司令官は8日の投票時、現地メディアに「結果が国民の希望にかなうならば受け入れる」と語った。選挙戦の終盤には「公正な選挙でない」と述べ、結果を受け入れない可能性を示したが、姿勢を転換した。

改選対象は上下両院(定数664)のうち軍人枠(166議席)を除く498議席。「治安上の理由」で投票が見送られた22議席を除く上院161、下院315の計476議席を小選挙区で争った。投票見送りの22議席を定数から差し引いたうえでNLDが両院の過半数を維持するには計322議席が必要だった。

今回の総選挙は新型コロナ対策として、60歳以上の有権者が投票日の前に在宅で投票できるようにした。投票所でマスクやフェースシールドを配布した。ミャンマー政府が国籍を与えないイスラム系少数民族ロヒンギャは原則、排除された。

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