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米、対中政策は強硬路線維持へ

米国の対中政策は知的財産権の保護や産業補助金の見直しを巡って、強硬路線を引き下げることはなさそうだ(6日、演説するバイデン氏)=ロイター

【ワシントン=河浪武史】米大統領選で勝利が確実になったバイデン前副大統領は、トランプ流の孤立主義からの転換が求められる。世界経済はなお危機下にあり、国際協調が欠かせないためだ。ただ対中政策は、知的財産権の保護や産業補助金の見直しを巡って、強硬路線を引き下げることはなさそうだ。

「中国を国際ルールに従わせる必要がある。トランプ氏とは異なる手法をとる」。バイデン氏は10月の討論会で、対中政策の見直しを示唆してみせた。「トランプ氏は対中貿易赤字を減らすことはできなかった」

トランプ政権の4年で際だったのは、中国との関税合戦に代表される強硬的な貿易政策だ。

18年夏に対中制裁関税の第1弾を発動すると、立て続けに範囲を拡大。最終的には年3600億ドルの中国製品が制裁対象となった。貿易戦争は中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への禁輸措置などハイテク摩擦に発展。両国の分断は修復が難しい状態だ。

バイデン氏は副大統領時に習近平(シー・ジンピン)・中国国家主席(当時副主席)と経済対話を繰り返した経緯があり、産業界には米中融和に期待もある。実際、バイデン氏は選挙戦序盤に「トランプ氏の関税政策は手法が古い」などと主張していた。

ただ、7日の勝利演説では対中政策に一切言及しなかった。米議会では共和、民主を問わず、対中強硬姿勢が強まっており、香港問題などでむしろホワイトハウスを突き上げてきた。バイデン氏も議会勢力や国内世論を考慮すれば、トランプ政権が敷いた強硬路線を大きく転換するのは難しい。対中制裁関税も、補助金政策など構造改革につながる「果実」を得ずに無条件に引き下げるのは簡単ではない。

バイデン氏は「同盟国と手を組んで中国に圧力をかける」と主張するが、対中政策でトランプ政権ほどの具体策を持ち合わせているわけではない。世界貿易機関(WTO)ルールの改革などが必要になるが、4年の任期で中国に対して世界的な包囲網を敷くのは相当な力業が必要になる。

米中摩擦は通商問題から金融問題にも波及しつつあり、そもそも解きほぐすのは容易ではない。トランプ政権は8月、米国市場に上場する中国企業の監査を厳格にすると突如表明したが、米ハドソン研究所の中国専門家、マイケル・ピルズベリー氏は「もともと中国に監査免除の特権を与えたのは、オバマ前政権下で動いたバイデン氏だ」と主張する。

バイデン氏は次男が金融会社を通じて中国に多額投資していたことも明らかになっており、共和党は今でも中国政策を同氏の最大の弱点とみる。

米中両国は1月に貿易交渉で「第1弾の合意」に達して以降、具体的な交渉がまったく進んでいない。中国も大統領選を様子見してきたが、新体制に移行すれば摩擦解消へと動き出す。米中両国が出すカード次第では、貿易戦争の終結に向かう可能性もある。

トランプ政権は中国だけでなく、日欧や新興国に鉄鋼・アルミニウム製品の追加関税を課してきた。民主党は「自滅的な関税政策には頼らない」と政策綱領に明記しており、関税の引き下げに動く可能性が高い。

鉄鋼とアルミへの追加関税は、日本製品の7割がすでに適用除外となっているが、今なお対米輸出の重荷だ。トランプ政権の関税政策は、米鉄鋼大手各社の業績改善にはつながっておらず、むしろ米国内の自動車生産などのコスト要因となっているのが実態だ。

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