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横浜のスタートアップ拠点開設1年 成長の土壌じわり

よくぞボックスでは企業間の連携や人的交流を進めるため、イベントが開かれている

横浜市のスタートアップ支援拠点「YOXO BOX(よくぞボックス)」が開設されて1年が経過した。新型コロナウイルスで交流イベントの規模を縮小するなど出ばなをくじかれたが、徐々に効果も出てきた。スタートアップの成長に向け、起業家を支えるコミュニティーの形成が課題となる。

「会社運営や事業計画などについて、手取り足取り相談に乗ってもらった」。よくぞボックスの開業に合わせて市が始めたスタートアップへの伴走支援事業「アクセラレータープログラム」の対象企業に選ばれたウィルボックス(横浜市)の神一誠代表はこう話す。

同社は国際物流を効率化するデジタルプラットフォームの開発・販売を手がける。神代表は2019年、同社を創業。市が仲介した先輩起業家のメンターなどから支援や助言を受けて「創業初期をうまく乗り越えられた」。市内の大手機械メーカーとのマッチングもしてもらい、煩雑な貿易書類を電子化する仕組みをつくれないか協議している。

同事業の応募数は第1期は32社だったが、直近の第2期は36社に増えた。新型コロナで経済活動が停滞するなか、スタートアップは「コロナをチャンスにしようと逆に元気になっている」(横浜市新産業創造課)という。

よくぞボックスはスタートアップや大企業、金融機関などが一堂に集まり、ビジネス交流を促進することを主眼につくられた。現在は感染対策のため各種イベントをオンラインで実施したり、会場の人数を制限したりしている。当初想定した支援の形とは違うが、効果もじわり出てきている。

音楽スタジオの予約サイトを運営するスタジオル(横浜市)の山地瞭社長が、映像解析サービスのジェネクスト(同市)の取締役に就任したニュースが最近、横浜のスタートアップの間でにわかに話題になった。山地社長とジェネクストの笠原一社長がよくぞボックスのイベントで登壇した際に、山地社長がジェネクストの事業や情熱に強く共感したことがきっかけだという。

当時、ジェネクストは「自社の事業を分かりやすく伝えることが弱みだった」(笠原社長)。それを知った山地社長がジェネクストのホームページを試作して見せたところ、能力や熱意が認められて経営に参画することになった。山地社長はジェネクストで、本業や前職の楽天での経験から知見があるマーケティング部門を担当する。

監査法人トーマツ横浜事務所の村田茂雄氏は横浜のスタートアップの成長について「コミュニティー形成を続けることが大事だ」と話す。横浜のスタートアップは東京や海外に比べるとまだ力の差が大きい。ただ、新型コロナで人々のライフスタイルが変わるなか、スタートアップにとっては「新事業創出の好機」とみる。

官民が連携して横浜を世界に通用する「イノベーション都市」にしようと、水面下では20年度内に協議会をつくる構想もある。市新産業創造課は「人・企業・投資を呼び込むエコシステムを構築したい」と話す。地域ぐるみでスタートアップへの支援を粘り強く続け、「横浜は起業に向いている」という環境を根付かせることが重要になる。

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