/

「分断でなく結束めざす大統領に」バイデン氏勝利宣言全文

7日、デラウェア州ウィルミントンで勝利演説するバイデン氏=AP

米大統領選で当選を確実にした民主党候補のジョー・バイデン前副大統領は7日夜(日本時間8日午前)、デラウェア州ウィルミントンで支持者の前で演説した。米大統領選での「明らかで納得のいく勝利」を宣言すると同時に、「分断ではなく結束を目指す大統領になる」と語った。全文は以下の通り。

米国の魂を立て直す

米国人たちよ。このダンスパーティーに私を招いてくれた米国人、デラウェアの人たちよ。国民が声を上げ、我々を明らかな、納得できる勝利に導いてくれた。大統領選の歴史上、最も多くの票を得た。7400万票だ。

私は驚きを隠せない。今晩、我々はこの国、町、あらゆる場所に、世界に広がる、ほとばしる希望の喜びを目にしている。明日への新たな信念と、より良き日を迎える希望だ。あなたが私に与えてくれた信頼と自信を謙虚に受け止める。分断させようとするのではなく、結束させる大統領になることを誓う。赤い州や青い州ではなく、ただ米国だけを見ることを誓う。

心から、あらゆる人の信頼に応えるために働く。米国はそうあるべきだ。私たちは国民のための政権だ。米国の魂を立て直す。米国の屋台骨を建て直し、中間層を再構築し、米国を世界から再び尊敬される国にする。私の人生において、多数の米国人が我々の理想像に投票してくれた。そしてその理想像は現実になり、我々の仕事となる。

勝利演説後に手を振るバイデン氏(左)とジル夫人(7日、デラウェア州ウィルミントン)=ロイター

私はジルの夫だ。彼女の愛と絶え間ない支援がなければここにはいなかった。息子のハンター、娘のアシュレー、孫たち、親戚と家族たち。ジルは母であり教育者で、人生を教育にささげてきた。米国の全ての教育者たちにとって偉大な日だ。教育者の一人をホワイトハウスで迎えるのだから。ジルは素晴らしいファーストレディーになるだろう。とても誇りに思う。

ステージから支持者に手を振るバイデン氏(右)とハリス氏(7日、デラウェア州ウィルミントン)=AP

素晴らしい副大統領、カマラ・ハリスと働けることは光栄だ。彼女は女性かつ黒人で南アジアの祖先を持つ移民2世で初めて米国の国政選挙で選ばれた人物だ。何年も懸命に戦ってきた人がいるなか、ずっと先延ばしになっていた。だが米国は再び、道徳の弧を正義の方向へと向けた。カマラと(夫の)ダグ、好むと好まざるとにかかわらずあなたは家族だ。名誉にもバイデン家の一員だ。

(新型コロナウイルスの)パンデミック(世界的大流行)下で、投票所でボランティアや働いてくれた人々、各地の選挙管理担当者の方々は米国全体の感謝に値する。私の選挙チームとあらゆるボランティアで協力してくれた人、この瞬間を迎えるために尽くしてくれた人にあらゆる恩を受けた。我々を支援してくれた全ての人々へ、我々の選挙活動を誇りに思う。

我々は歴史上最も幅広く多様な連合を組んだことを誇りに思う。民主党、共和党、独立派、急進左派(プログレッシブ)、穏健派、保守派。若い人、年老いた人、都市部、地方に住む人、ゲイの人、そうでない人、トランスジェンダー、白人、ラテン系、アジア系、米国先住民の人。特にこの選挙活動が停滞していたときに、アフリカ系米国人の共同体が私のために立ち上がってくれた。

彼らはつねに私を支えてくれ、私もあなた方を支える。私は選挙活動の初めから、この選挙戦を米国を代表するものにしたいと言ってきたし、そうした。今度は、政権をそのようなものにしたい。

トランプ米大統領に投票した人々は今夜、落胆しているだろう。私自身も(大統領選への立候補で)2度撤退している。今度はお互いに機会を与えよう。暴言をやめて冷静になり、もう一度向き合い、双方の主張に耳を傾けるべきだ。前に進むために、互いを敵とみなすのはやめなければいけない。私たちは敵ではない。私たちは米国人だ。

聖書は全てのことに季節が巡っていると教えてくれる。立て直し、稲穂を刈り取り、種をまき、傷を癒やす時だ。米国の傷を癒やす時が来た。

新型コロナを制御

7日、デラウェア州ウィルミントンで勝利演説するバイデン氏=ロイター

今や選挙戦は終わった。人々の意志は何か。私たちの使命は何か。私は、米国民が私たちに、品位と公正の力を導くことを求めたと信じている。私たちの時代の大きな戦いのなかで、科学と希望の力を導くことを求めた。ウイルスを制御し、繁栄を築き、あなたたちの家族の健康を守るために戦う。

この国の人種的平等を達成し、構造的な人種差別を根絶するために戦う。環境を守るために戦う。品位を回復し、民主主義を守り、この国のすべての人に公正な機会を与えるために戦う。

私たちの仕事は新型コロナを制御することから始まる。ウイルスを制御下に置くまでは、経済を修復し、活力を取り戻すことはできない。孫をこの手に抱いたり、誕生日や結婚式、卒業、あらゆる人生で最も貴重な瞬間を味わうことはできない。

月曜日(11月9日)に、私は一流の科学者と専門家のグループを政権移行のアドバイザーとして指名し、新型コロナ対策の「バイデン・ハリス計画」を作り、2021年1月20日(の就任日)から始める政策の青写真を描く。その計画は科学に基づいて作られ、思いやり、共感、そして懸念に配慮したものになる。パンデミックを好転させるための努力や責任を惜しまない。

私は誇り高き民主党員だが、米国の大統領として統治する。私に投票しなかった人々のためにも、私に投票した人々に対するのと同じように一生懸命働くつもりだ。

党派を超え協力を

この厳しい悪夢の時代に今ここで終わりを告げよう。民主党員と共和党員が互いの協力を拒否したのは、われわれの制御が及ばない不思議な力によるものではない。全ては決断であり、私たちの選択に尽きる。私たちは協力することを選択できる。

これは米国民から私たちに与えた使命だと確信している。彼らの利益のために協力することを望んでおり、それが私の選択だ。私は議会、民主党員、共和党員に対して、私と同じ選択をとることを呼びかけていく。

米国の物語は、ゆっくりと着実に、チャンスを広げている。間違いをおかしてはならない。多くの夢はあまりにも長い間かなわなかった。私たちはこの約束を、人種や信仰、アイデンティティー、障害に関わらず、全ての人にとって現実のものにしなければならない。

米国は常に、私たちが何者なのか、何を目指しているのかという難しい選択を下した際に転換点を迎えてきた。これまでのリンカーン、ルーズベルト、ケネディ、そしてオバマといった歴代大統領が証明している。「Yes We Can(われわれはできる)」。

私たちはいま、転換点に立っている。絶望に打ち勝ち、繁栄と目的のある国を築くチャンスがあり、それができると知っている。私たちは、米国の魂を取り戻さなければならない。米国は、天使と悪魔の絶え間ない戦いによって形作られてきた。今夜、私たちの天使が勝つ時がきた。全世界が米国に注目している。私たちが模範となって、導かなければならない。

可能性の国に

7日、デラウェア州ウィルミントンで勝利演説後に笑顔を見せるバイデン氏=ロイター

私は常に、米国を一言で定義できると信じてきた。「可能性」だ。米国では全ての人が夢をかなえる機会が与えられるべきだ。この国の可能性を信じ、常に先を見据えている。自由で公正な米国、尊厳と敬意を持って雇用を創り出す米国、がんやアルツハイマーなどの病気を治す米国、誰も置き去りにしない米国、決して諦めない米国に向かっていく。素晴らしい国で素晴らしい人々がいる。これが米国だ。私たちが力を合わせれば、不可能なことなどない。

投票日までの最後の数日間、私と私の家族、そして亡くなった息子のボーにとって大きな意味を持つ賛美歌について考えていた。それは私自身を支える信念であり、米国も支えると信じている。今年、恐ろしいウイルスで愛する家族を失った人たちの慰めになるよう願う。私の心はあなた方一人ひとりに向けられている。この賛美歌があなたの慰めになることを祈る。

「(賛美歌を引用して)神はあなたをワシの翼で持ち上げ、夜明けの吐息で支え、あなたを太陽のように輝かせ、そしてあなたを神の手のひらの上で抱きしめる」――。そして今、ともに「ワシの翼」で神と歴史が求める仕事をしよう。

心を込め、しっかりとした足取りで、米国とお互いを信じ、国への愛と正義への渇望を持って、私たちが目指す国を作り上げよう。国は団結し、強くなり、そして癒やされる。子どもの頃、祖父に言われた。「ジョー、信念を貫け」。祖母が生きていたときは、「ジョー、信念を広めよ」と。米国に神のご加護を。神が私たちを守ってくださいますように。ありがとう。

(米州総局=白岩ひおな、野村優子、大島有美子)

米大統領選

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

日経電子版の「アメリカ大統領選挙2020」はアメリカ大統領選挙のニュースを一覧できます。データや分析に基づいて米国の政治、経済、社会などに走る分断の実相に迫りつつ、大統領選の行方を追いかけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン