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「反トランプ」のうねり、バイデン氏が糾合

(更新)
7日、バイデン氏の当確報道に喜ぶ地元デラウェア市ウィルミントンの市民=ロイター

【ワシントン=永沢毅】米大統領選で史上最多の票を獲得してジョー・バイデン前副大統領が当選を確実にしたのは、有権者の「反トランプ」の奔流だった。米国民の分断をあおり、民主主義の土台を揺るがすかのようなドナルド・トランプ大統領への危機感は党派や年齢、人種を超えて共有され、バイデン氏はそのうねりを糾合することに成功した。

バイデン氏は決して有権者から積極的な支持を集めたわけではない。新型コロナウイルスの影響で縮小を迫られた選挙活動は熱気に乏しく、民主党政権の元閣僚が開いた対話集会に3人しか支持者が集まらなかった例もある。数千人を一堂に会するトランプ氏の選挙集会とは表向き好対照にみえた。

それでも4年前の大統領選を棄権した若者層ら多くの有権者が意思表示のために一票を投じた。投票率は1世紀ぶりの高水準に達する。米国を覆う複合的な危機は大統領選をトランプ氏への信任投票と位置づけ、伝統的な共和党員や新型コロナの脅威にさらされる高齢者の離反も招いた。

「全ての米国人の大統領になる」。バイデン氏は結束と融和を訴える。しかし、かつて同じメッセージを伝えたオバマ政権下でも米国の分断は静かに進行し、4年前の大統領選でトランプ大統領が誕生する素地が作られたのも事実だ。

その原動力となった白人労働者層や中間層の怒りにバイデン氏はどう答えるか。米国の繁栄をもたらしたグローバル化やデジタル化の進展と両立させながら、影の側面でもある経済格差の是正に取り組むのは容易ではない。

トランプ氏も得票数を前回より700万票以上伸ばし、その求心力をみせつけた。選挙の結果に不満を持つ同氏の支持者は不穏な動きをみせる。政権奪還という1点で穏健派のバイデン氏に協力した民主党内の左派も、急進的な政策の実現を求めて働きかけを強めるのは確実だ。

外に目を向けると、国際秩序の刷新をもくろむ中国の国力はバイデン氏が副大統領だった4年前とは比べるべくもない。国内の分断修復に力を割かれて内向き志向を強めれば、世界情勢はさらに流動化する。米国の民主主義の強度が国内外で試される。

アメリカ大統領選挙

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