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FRB、景気二番底警戒 コロナ拡大なら量的緩和拡充

米国は4日、1日あたりの新規感染者が10万人を突破した

【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は新型コロナウイルスの再拡大による景気の「二番底」を強く警戒する。5日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に記者会見したパウエル議長は「景気支援へ、資産購入策を再検証する」と述べ、量的緩和の拡充を検討する考えを表明した。大統領選への直接の言及は避けたが、選挙戦の混乱による経済への悪影響も念頭にあるとみられる。

「新型コロナの再拡大は懸念材料だ。経済再開で景気は急速に持ち直してきたが、ここ数カ月はペースが緩んでいる」

パウエル議長は5日、新型コロナへの警戒感を改めて表明した。米国は4日、1日当たりの新規感染者数が初めて10万人を突破。7~9月期の経済成長率は前期比年率33%と急回復したが、国内総生産(GDP)はコロナ危機前と比べなお3.5%も少ない水準だ。景気回復が想定より早く鈍化すれば、長期失業の増大など停滞リスクに直結する。

パウエル議長は飲食業や旅行業などサービス分野を懸念する。全米第3位の大都市シカゴでは、飲食店の店内営業を再び禁止。予約サイト「オープンテーブル」のデータでは、一時は前年比4割減まで回復していた同市内の飲食店の客足は、11月初頭には9割減まで急落。全米ベースでみても5~6割減と、再び大幅な落ち込みとなった。

米国は11月末からクリスマス商戦が始まる。12月の小売売上高は1~11月の月平均に比べて、通常15%ほども大きくなるが、コロナ危機が逆風となる。米政権・議会が協議してきた追加の財政出動も与野党対立で発動が遅れており、雇用対策などの失効が個人消費を冷やしかねない。米経済がコロナ危機前に戻るには、10~12月期に年率15%の成長率が必要だが、同3%前後にとどまるとの見方が大勢だ。

「資産購入と景気支援の役割について議論した。保有資産の構成や残存期間を変えることは、追加緩和の手段となる」

パウエル議長は3月に再開した量的緩和の拡充を視野に入れる。米景気は二番底の懸念が漂うが、政策金利はゼロ近辺まで下がって緩和余地が乏しい。コロナ危機が再び深まれば、FRBは資産購入に頼らざるを得ない。

ただ、FRBは既に米国債を月800億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)を同400億ドルのペースで買い入れている。2008~14年の量的緩和時を上回るペースで、資産購入も既にフル稼働だ。パウエル氏が記者会見で示唆したのは、短期債ではなく残存期間の長い長期債の購入を増やして、企業融資や住宅ローンに影響する長期金利を押し下げていく手法だ。

「追加の財政出動が、適切な時期に適切な規模でなされれば、より力強い経済回復につながるだろう」

企業家や投資家の最大の関心事は米大統領選の行方だが、パウエル氏は選挙情勢に直接言及するのは避けた。ただ、米政権と議会には改めて財政出動を促し、金融緩和頼みからの脱却を求めた。

次期政権をそのままトランプ大統領が担うか、バイデン前副大統領に切り替わるかは、FRBの先行きの政策判断に影響する。バイデン氏は10年で10兆ドルという巨額の財政出動を公約しており、景気の過熱と財政の悪化をともに招きやすい。米ゴールドマン・サックスは「大型の公共投資が実現すれば、インフレ予想が強まって利上げ時期が早まる」と予測する。

一方でトランプ氏はマイナス金利など、より大胆な策をFRBに求めてきた。同氏はパウエル議長の更迭をたびたび口にしてきただけに、FRBは組織防衛も含めた複雑な政策判断が必要になる。

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