JR北海道は過去最悪の最終赤字、ビジネス 観光激減

JR北海道が6日発表した2020年4~9月期の連結決算は、最終赤字が149億円(前年同期は3億8800万円)に拡大した。売上高、赤字幅は4~9月期連結決算の集計を始めた00年以降で最低。新型コロナウイルス感染拡大で旅客需要は低迷しており、通期予想も非公表の方針を変えていない。
売上高にあたる営業収益は519億円(前年同期比39%減)。国の緊急事態宣言で北海道を訪れるビジネス客や観光客が急減。新千歳空港発着の国際線が相次ぎ運休・減便し、インバウンド(訪日外国人客)需要もほぼゼロが続く。鉄道運輸収入は55%減の166億円。うち北海道新幹線の運輸収入は75%減の11億円止まりだった。
営業赤字は385億円(前年同期は149億円)。営業費用で賞与の削減や役員報酬の減額、列車の減便、出張や広告宣伝費の抑制など、連結ベースで19億円のコストを削減したが補えなかった。経常損益は224億円の赤字(同6億9100万円の黒字)に転落した。経営安定基金による運用益や特別債券による利息収入などはほぼ前年並みだった。

収益を支えてきたグループ子会社の不振も業績を押し下げた。札幌駅前の商業施設「エスタ」「アピア」「パセオ」「札幌ステラプレイス」を運営する札幌駅総合開発(札幌市)は営業収益が前年同期に比べ3割以上減り、68億円にとどまった。最終損益は7億8200万円の赤字(前年同期は11億円の黒字)だった。
駅構内の売店などを手掛ける北海道キヨスク(同)も営業収益がほぼ半減し、44億円だった。
最終損益は3億1300万円の赤字(同2億8700万円の黒字)に転落した。
ホテルを展開するJR北海道ホテルズ(同)も7割近く減収となり、14億円止まりだった。最終損益は6億2500万円の赤字(同5億7000万円の黒字)に落ち込んだ。先行きが見通せないとして、JR北は通期業績見通しを引き続き非公表とした。
JR北は21年3月通期に連結ベースで400億円の減収を見込む。6日に記者会見したJR北の渡利千春常務は「減収額をそのまま減益額にしないため、徹底したコスト削減に取り組んでいきたい」と話した。
JR北によると、融資枠にあたる当座貸し越し極度額を650億円契約しているが、現時点で利用していないという。過去最低の決算ではあるものの、当面の資金不安はないという。(高橋徹)
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