南太平洋パラオ 次期大統領も親台湾 中国との距離探る
【マニラ=遠藤淳】南太平洋のパラオで3日投開票された大統領選挙で実業家のウィップス元上院議員の当選が確実になった。現地メディアが6日報じた。近隣の島しょ国では中国と国交を結んで台湾と断交する動きが相次ぐが、親台とされるウィップス氏は台湾との国交を維持する姿勢だ。

ウィップス氏は現職のレメンゲサウ大統領の義弟だ。任期は2021年1月から4年間。税制改革を掲げ、投票された約8200票のうち4600票余りを獲得した。16年の前回大統領選にも出馬したが、その際はレメンゲサウ氏に敗れた。
ウィップス氏は台湾との外交関係を続け、中国を承認しない姿勢だ。パラオは米国と自由連合協定を結び、同国に国防を委ねている。8月にエスパー米国防長官、10月にはブレースウェイト米海軍長官の訪問を受け、レメンゲサウ氏は両氏にそれぞれ「米軍の施設をパラオに設け、常駐してほしい」と要請した。
南太平洋には台湾を承認する島しょ国が多かったが、中国は各国に台湾との断交と中国との国交樹立を働きかける。19年にはソロモン諸島、キリバスと相次ぎ国交を結んだ。両国はいずれも台湾と断交した。
観光業を重視するパラオにとって中国からの観光客は無視できない。パラオを訪問する外国人観光客の半数を中国人が占めた時期もあった。17年末には中国が同国からパラオへの団体旅行を禁じ、同国の観光業が大きな打撃を受けた。
パラオは第2次世界大戦前、国際連盟が認めた日本の委任統治領だった。戦後、米国を施政国とする国連の信託統治領を経て、1994年に独立した。台湾とは99年に外交関係を樹立。投資を積極的に受け入れてきた。いまの国会議事堂の建設でも台湾の支援を得た。