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JAL、1600億円公募増資 コロナ後見据え投資へ

(更新)
資本増強で財務を強化しつつ、需要回復後を見据えた投資をする

日本航空(JAL)は6日、公募増資などで最大約1680億円を調達すると発表した。新型コロナウイルスで航空需要が急減し、2021年3月期は12年の再上場後初の赤字となる見通し。エクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)で財務を強化しつつ、効率の高い航空機の導入など、需要回復後を見据えた投資をする。

新型コロナで業績が悪化した大手企業が公募増資で資本増強するのは初めて。調達額はアサヒグループホールディングスに並んで20年で最大規模となる。

公募増資は国内外で実施。国内が3分の2、海外3分の1となる。最大で1億株を新たに発行、現在の発行済み株式数(3億3714万株)の3割にあたる。

調達額のうち1000億円を投資に、残りの約680億円を有利子負債の返済に充てる。二酸化炭素(CO2)の排出量が少なく、燃費のいいエアバス社の航空機購入に800億円を使い、今後需要拡大が見込める格安航空会社(LCC)事業への投融資に150億円を投じる計画。

社債の償還や借入金の返済などで20年度に300億円、21~22年度にそれぞれ500億円の資金が必要になる。調達資金を返済資金の一部に充てる。

新型コロナによって国際線を中心に旅客数の減少は続いている。21年3月期の連結最終損益(国際会計基準)は2400億~2700億円の赤字(前期は534億円の黒字)になる見通しだ。航空など運輸業界では需要急減で巨額の赤字を計上する企業も多く、優先株や劣後ローンでの資本増強が相次いでいる。

コロナ後見据え先手


 日本航空(JAL)が資本増強で先手を打った。新型コロナウイルスの影響に苦しむ航空業界の中でも相対的に財務は安定している。体力があるうちに手を打ち、コロナ後の成長につなげる。
 同日記者会見した木藤祐一郎財務部長は「財務的な余力があるうちに調達をして、ポストコロナをけん引する航空会社になりたい」と話した。
 JALは4~9月期に1612億円の最終赤字を計上した。9月末の自己資本比率は3月末に比べて約8ポイント低下し44%となった。ただANAホールディングス(32%)や欧米の航空会社よりも高い水準を維持している。
 比較的良好な財務はJALは10年に会社更生法の適用を申請し、12年の再上場後から19年3月期まで繰越欠損金の控除で税負担が少なかったことが大きい。21年3月末でも自己資本比率は4割を確保できる見通し。
 資本増強を急いだのはこの相対優位を生かすためだ。航空業界は航空機などの設備投資が売り上げに先行する。新型コロナが収束しても、財務が悪化していると借入金の返済を優先しなければいけなくなる。
 JALの有利子負債は半年間で2237億円増加した。自己資本と比べたDEレシオは0.3ポイント悪化していた。今回の公募増資で得た資金を先を見据えた投資と負債返済にも充て、コロナ後に備える。ANAも劣後ローンで資本増強することを発表している。
 しかし調達額は6日の時価総額(6213億円)の3割と巨額だ。木藤氏は「短期的には既存株主に影響があるかもしれないが、投資を通じて企業価値を上げたい」と理解を求めたが、6日の東証の取引終了後の私設取引システム(PTS)の取引では株価が1割以上下落した。
 新型コロナという不測の事態とはいえ、調達に見合った企業価値の増加につなげられなければ、市場の不信感は高まる。世界中で感染者数が再び増加するなか、需要減が長期化する懸念も出ている。調達資金を使って、想定通りに復活への道筋を描けるかが今後、問われることになる。

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