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米ウーバー、料理宅配「イーツ」に託す再成長

ウーバーでは料理宅配の売上高がライドシェアを上回るようになった=ロイター

【シリコンバレー=白石武志】米ウーバーテクノロジーズの収益回復が足踏みしている。新型コロナウイルスによるライドシェアの需要減が続き、5日発表した2020年7~9月期決算は2四半期連続で減収だった。巣ごもり消費を追い風に伸びる料理宅配サービス「イーツ」に再成長を託すものの、先行投資がかさんで最終損益は10四半期連続で赤字だった。

売上高は前年同期比18%減の31億2900万ドル(約3200億円)、最終損益は10億8900万ドルの赤字(前年同期は11億6200万ドルの赤字)だった。同社アプリの月間利用者数は24%減の7800万人。各国・地域の外出制限で人々の移動が減った4~6月期(5500万人)からは回復したが、2四半期連続で1億人の大台を下回った。

売上高の内訳はライドシェアなど移動サービス事業が53%減の13億6500万ドル、料理宅配を含む配達事業は2.2倍の14億5100万ドルだった。配達事業の売上高が全体に占める割合は前年同期から29ポイント上昇して46%まで高まり、2四半期続けて移動サービス事業を上回った。

料理宅配市場への本格参入から約5年。ウーバー経営陣は祖業のライドシェアを上回るペースで拡大するイーツ事業を収益改善の切り札と位置づける。提携するレストランは世界で56万軒に達したものの、飲食店全体に占める割合は米国で30%、英国で16%、日本では5%未満にとどまり、地方都市や郊外でなお成長余地が大きいためだ。

ダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)は5日の電話会見でイーツ事業について「普及率はまだまだ低い」と述べ、潜在的な市場規模については「輸送サービス並みに大きい」と強調した。LINE傘下の出前館と激しい競争を繰り広げる日本市場についても言及し、7~9月期の料理宅配サービスの取扱高が前年同期の4倍超に伸びたと明らかにした。

ただ、ライドシェアに比べ料理宅配の参入障壁は低く、レストランや顧客の獲得競争は激しい。米国だけでも首位ドアダッシュのほかグラブハブとウーバー、ポストメイツの大手4社がひしめく。ウーバーが収益性の指標として重視する調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は移動サービス事業が7~9月期も2億4500万ドルの黒字を維持したのに対し、配達事業は1億8300万ドルの赤字が続いた。

料理宅配サービス各社は既存の利用者から得た収益を新たな顧客獲得のためのキャンペーンに注ぎ込んでシェア拡大を競うが、飲食業界からは「不公平だ」との批判が根強い。ニューヨークなどの米国の主要都市では飲食店や消費者らを保護するため、料理宅配サービス企業が受け取る手数料の料率に上限を設ける動きも広がる。

ウーバーはシェア拡大に向け7月に米国の料理宅配市場で4位のポストメイツを26億5000万ドルで買収すると発表した。ライバルを減らすことで競争を緩める狙いもあるとみられるが、寡占の弊害を懸念する米消費者保護団体は規制当局に買収を阻止するよう求めている。

10月には米司法省が反トラスト法(独占禁止法)違反で米グーグルを訴えるなど、独禁当局はIT(情報技術)大手に対する監視を強めている。コスロシャヒ氏は「我々の市場支配力はグーグルとは全く違う」と話すものの、強まるIT大手への風圧はウーバー経営陣の目算を狂わせる可能性もある。

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