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雇用・投資に下振れ懸念 経財白書、ITで自律成長を

(更新)

西村康稔経済財政・再生相は6日の閣議に2020年度の経済財政報告(経済財政白書)を提出した。白書では新型コロナウイルスの感染拡大を受け、雇用や設備投資などが下振れする懸念があるとの分析を示した。そのうえで感染防止と経済活動を両立し、デジタル化で生産性を高めれば、自律的な成長軌道に回復できると訴えた。

白書は内閣府が日本経済の現状を毎年分析し、今後の政策立案の指針となることをめざす。20年度はコロナ禍で浮き彫りになった日本経済の課題を指摘し、解決する必要性を強調した。

国内総生産(GDP)が戦後最大の落ち込みとなった4~6月期については、コロナ禍が個人消費に与えた打撃の大きさを示した。家計の所得や資産から推計した水準に比べ、実際の消費額は年額換算で約31兆円少なかったという。リーマン・ショック時(5.5兆円)や東日本大震災時(6.5兆円)を大きく上回る下振れ幅となった。

国内経済は5月を底に回復傾向にあるものの、先行きへの懸念は多い。コロナ禍による企業収益や設備稼働率の低下について「設備投資を今後1年間程度押し下げる可能性がある」と指摘した。欧米で再び感染拡大に勢いがついたことで、輸出が減少する懸念があることにも言及した。

雇用悪化のリスクも指摘した。足元では企業が雇用調整助成金などを活用し、雇用の維持を図っているため失業率の急上昇は起きていないが、経済の停滞が長引けば厳しい局面を迎える恐れがあるとの見方を示した。

回復傾向にある個人消費についても「感染者数の増加で需要が低下するリスクは小さくなく、注意が必要」と警戒感を示した。経済全体での需要の回復が遅れると、物価にも低下圧力が高まることになる。

こうした景気の下振れリスクがあるため、感染防止策を徹底しながら、経済活動を拡大する局面だと訴えた。

経済を成長軌道に戻すには、ソフトウエアなどIT(情報技術)への投資を促すことが重要だと強調した。特に中堅・中小企業でソフトの活用による省力化が遅れており、今後の拡大余地が大きいと指摘した。

経済協力開発機構(OECD)の調査をもとに、公的分野での日本のIT活用の遅れにも言及した。教育現場のIT化は回答した45カ国中32位にとどまり、行政手続きのオンライン化では30カ国中最下位だった。

白書は働き方改革の現状と効果の分析も示した。新型コロナの感染拡大前から有給休暇取得の促進や残業抑制などの働き方改革に取り組んでいた企業では、生産性の向上や労働時間の減少、離職率の低下などの効果が出ていることが分かった。

西村氏は6日の記者会見で「今後、強い決意とスピード感を持って日本経済の変革に挑みたい」と述べた。

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