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パウエルFRB議長会見「世界のコロナ再拡大を懸念」

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は5日、米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に記者会見を開き、米国と世界で新型コロナウイルスの感染が再び広がっていることについて「特に懸念している」と述べた。発言の要旨と質疑応答の概要は以下の通り。

新型コロナの感染大流行が始まって以降、力強く、安定した景気回復のために対応してきた。厳しい環境の下で、第2四半期(4~6月期)に大きく悪化した景気は、経済活動の再開に伴って回復し、第3四半期(7~9月期)には米国の実質国内総生産(GDP)の成長率が前期比年率で33%に達した。

最近は家計でのモノの消費のペースは鈍ったものの、耐久財受注は強く、コロナ以前の水準を上回った。対照的に旅行やホテル業界を中心にサービス消費は引き続き低水準だ。

家計の消費が全般に回復したのは、政府による家計支援や、失業保険の拡大によるものだ。低水準の住宅ローン金利が助けとなって、住宅セクターも完全に回復し、民間企業の投資も戻った。

とはいえ経済活動全体としてみれば引き続きコロナ以前の水準を大きく下回っており、先行きは不透明だ。

雇用情勢の改善は歓迎できるが、何百万人という国民が依然として失業状態だ。サービス業で働く女性やアフリカ系米国人、ヒスパニックの国民が景気悪化の打撃を大きく受けている。

これまで強調してきたように景気の先行きは極めて不透明で、この先どうなるかはコロナの感染状況次第だ。最近深刻になっている米国・世界のコロナ感染再拡大は特に懸念される。他人との距離を保ち、マスクをするという医療関係者のアドバイスに皆が従うことが景気を完全に回復させる上で重要だ。

FRBはこの危機に際して、我々の使命である完全雇用の達成と物価の安定に加え、金融システムの安定化に努めてきた。物価上昇率は9月に再確認した2%の目標を一貫して下回る。今後も2%を小幅に上回ることを目指す。完全雇用と物価目標が達成できるまで、金融政策は緩和状態を続ける見込みだ。

今回の会合では資産購入と景気回復支援の役割について討議した。資産購入が今後、どれだけ完全雇用と物価安定の目標、金融市場の安定化に役立つかを注視していきたい。FRBは家計、大企業から零細企業にわたって信用供与も実施し、景気への打撃を和らげる措置を講じてきた。

今まで実施されてきた財政出動による支援は家計や企業、地域社会に恩恵をもたらしてきた。それでも現在の景気悪化が前代未聞の深刻さであることを踏まえると、景気がコロナ前に回復するまでにはしばらく時間がかかるだろう。

FOMCの経済見通し公表について、いくつかやり方を変更する。12月からFOMCの声明発表と同時に経済予想サマリー(SEP)全体の資料を公表する。これまで資料の一部はFOMCから3週間後に議事要旨と一緒に発表していた。会合参加メンバーによる経済見通しとその不明点、リスクなど、より多くの情報を提供できる。

――労働市場の改善鈍化で、どのような指標を注視しているのか。

「改善ペースの鈍化は想定していたことだ。就業者数は5~6月に急増したが、その後は伸びが緩やかになっている。GDPについても、10~12月期に大幅成長の予測がでているが、7~9月期の年率33%ほどの伸びにはならない」

「ウイルスがさらに広がることや、家計で積み上げてきた貯蓄が減少するなど、現在は下振れリスクも懸念している。ただ、現時点で目の当たりにしているのは、緩やかなペースでの継続的な経済成長だ」

――追加の経済対策の必要性は。

「経済対策は景気回復を支えるために必要不可欠で、さらに必要になる可能性は高い。追加の経済対策が適切なタイミングと規模で行われれば、より力強い経済回復につながると考える。ただ、議会に対して追加経済対策のタイミングや規模について我々が指示するのは適切でない」

――労働市場におけるリスクは。

「人々が長期間労働から離れ、労働への意欲がなくなることがリスクだ。できるだけ早く労働復帰しないと、労働スキルを取り戻すのが難しくなり、経済全体を抑制するだろう。だからこそ(新型コロナの感染拡大の直後に)非常に強力で緊急の対応をとった」

「労働市場の回復はまだ途上で、目指すゴールまでは長い道のりだ。一部ではワクチンが手に入るまで経済活動の回復は難しいだろう。我々は経済への脅威を最小限にとどめるために、できる限りのことを行う」

――国際通貨基金(IMF)のチーフ・エコノミストが先進国の97%が1%以下の金利だと指摘し、金融政策の限界があるとの論文をまとめたことの受け止めは。

「この厳しい経済状況から脱出するまで我々はこれらの強力なツールを使い続けることを約束する。できることはもっとある。いままでの経済危機とは違い、金利を下げることで需要を持ち上げることはできない。今回は数千万人が突然失業した。強力な財政的対応をとったため、回復もそれだけ速かった」

「米国で感染が再び広がっているのは懸念材料だ。ホテルに泊まったり、レストランやバーに行ったりするのを自粛する人も出てくるだろう。夏の感染拡大の際に同じ懸念はあったが、乗り越えられた。今回はそれよりも広範囲で感染が拡大しており、リスクとして捉えている」

――米国は気候変動リスクにかかる金融当局ネットワークに参加する予定はあるか。

「金融システムを監視する中で、我々には経済をあらゆるリスクから守ることが期待されている。気候変動はリスクだ。金融規制の中に気候変動リスクを盛り込むという概念は比較的新しいものだ。だが他の中銀の取り組みにかかわり、どのように導入するかを議論している」

――米大統領選の結果が確定しないことによる景気見通しや市場混乱へのリスクに関して討議したか。

「選挙について直接的にも間接的にもコメントすることは控えたい。会議では国内外の経済や市場情勢、家計と企業の動向について話し合い、見通しへのリスクと適切な政策に関して討議する。選挙が話題になることは時にはあるが、重要な論点ではない」

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