激戦5州、バイデン氏勢い アリゾナはトランプ氏肉薄
大統領選、開票大詰め
【ワシントン=永沢毅】米大統領選は5日、残る激戦5州で開票作業が大詰めを迎えた。民主党候補のジョー・バイデン前副大統領(77)は東部ペンシルベニア、南部ジョージア両州でドナルド・トランプ大統領(74)を激しく追い上げ、西部ネバダ州ではリードを広げた。トランプ氏は西部アリゾナ州で猛追している。
3日の投票日から3日目を迎え、バイデン氏は当選に必要な過半数の「選挙人」の獲得に迫っている。米国を二分した超大国の指導者選びは決着に近づきつつある。
大統領選は各州に割り当てられた選挙人の獲得を争い、全米538人の過半数270人以上を得た候補が当選する。米メディアによると、米東部時間5日午後11時(日本時間6日午後1時)時点で獲得数はトランプ氏が214人、バイデン氏は253人。
勝敗が未定の6州のうち、アラスカ州(選挙人3人)はトランプ氏の勝利が確実視される。勝敗を左右するのはその他の激戦5州だ。
バイデン氏は先行しているアリゾナ(11人)、ネバダ(6人)を制すれば計270人に達する。5日はネバダでリードを広げ、トランプ氏がリードしているペンシルベニア(20人)とジョージア(16人)で差を縮めた。
ただ、アリゾナ州ではトランプ氏が猛追し、バイデン氏のリードは縮んでいる。トランプ氏が先行している南部ノースカロライナ州(15人)は目立った進展はない。トランプ氏が270人を確保するには、少なくともペンシルベニアを含む4州で勝利する必要がある。
バイデン氏は5日、地元の東部デラウェア州で「全ての票は集計されなければいけない」と郵便投票を含めた全ての開票の必要性を訴えた。各地でおきている抗議デモを念頭に「どうか平静を保ってほしい」と冷静な対応を呼び掛けた。
劣勢のトランプ氏はホワイトハウスで記者会見し「合法的な票を数えてほしい。彼らは選挙を盗み、不正を働こうとしている」と主張。急増した郵便投票の開票のあり方を改めて問題視した。
トランプ陣営は票の集計の差し止めなどを求める訴訟を全米各地でおこしている。ただ、ジョージア州では5日、期限後に到着した郵便投票は集計しないよう求めるトランプ氏陣営の訴えを地方裁判所が却下した。バイデン氏が制した中西部ミシガン州での訴訟も退けられた。
各地でいま進んでいる集計の多くは新型コロナウイルス対策で急増した郵便投票の分だ。多くの州で郵便投票はバイデン氏が有利とされている。例えば、ペンシルベニア州は当初、投票当日分の票で優勢なトランプ氏が先行したが、郵便投票の開票が進むに伴ってバイデン氏が追い上げる展開となっている。