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台湾コロナ対策 ITとユーモアがカギ

オードリー・タン氏 日経・FT感染症会議

台湾のデジタル担当相を務めるオードリー・タン氏が6日午後、横浜市で開催されている第7回日経・FT感染症会議で講演(事前収録動画を放映)した。台湾のコロナ対策は迅速、公正、楽しさの3本柱で支えているという。各国から称賛を受けるIT(情報技術)を駆使した対策の秘訣と舞台裏を語った。

もともと「世界的に有名なスーパープログラマー」として知られていたタン氏。台湾の新型コロナの対策で、マスクの在庫データを表示した地図アプリの開発環境を整え、マスクを巡る混乱から国民を救ったことで、一躍世界的な脚光を浴びた。

タン氏は冒頭、「台湾は、ロックダウンをせずに新型コロナに対峙した。迅速、公正、楽しさを3本柱にした社会革新が不可欠だった」と振り返った。

台湾では新型コロナ対策を2019年から始めていた。武漢の症例を報告するネット上の投稿がきっかけとなり、1月1日には武漢から到着する飛行機の乗客の健康確認を始めた。市民は公の場で症例について話すことができ、政府はそれを真剣に受け止めて2003年から対策を準備してきた重症急性呼吸器症候群(SARS)の再発生が起きたと捉えて行動した。

その理由としてタン氏は「市民と政府の間には信頼関係がある」と指摘した上で、「台湾は新しい技術にオープンマインドでいることを重視している」と説明した。

例えば中央流行疫情指揮中心(CECC)は、新型コロナの流行中毎日記者会見をライブ配信している。誰でも、無料通話番号で疫学に関して質問したり、CECCの記者会見に考えを伝えたりできる。

公正さは、「人々が健康保険証でマスクを近所の薬局で買えるようにした際の基本理念だ」と述べた。近所のコンビニや薬局のマスクの在庫をリアルタイムに確認できるマップを作ったのは政府ではなく一般市民だったという。「私はこのマップの存在をチャットサービスのスラックで知り、政府ができる限り援助するよう働きかけた」という。

従来は、政府が決めた指針や方針通りに市民が従い、動く。一方、今回は、「政府が、市民が必要としている方針通りに動いた」と解説した。

マスクの需給をリアルタイムで確認できるシステムから、長時間働いていて薬局に行けない人々などにマスクが行き渡っていないことも浮き彫りになったという。薬局だけでなく24時間営業しているコンビニとも協力し、アプリを使って近所のコンビニに事前注文できるようにした。「全ての人にマスクが行き渡り、また治療を負担なく受けられる公正さを保証した」と話した。数値モデルによると、コロナ感染の再生産数を1未満にするには市民の約8割がマスクをつける必要があるため、台湾の新型コロナ対策に非常に貢献したシステムとなった。

楽しさも対策に重要だという。「台湾では『ユーモア・オーバー・ルーモア(ユーモアが噂をしのぐ)』という考え方に基づいて新型コロナ下のパニックや陰謀論に対峙している」と強調した。 また「政府の専門のスタッフが、ネット上のハッシュタグに参加し、科学的に正しい情報をユーモアを交えてSNSなどを使って発信している」と例を紹介。新型コロナの影響でティッシュが不足するという誤った情報が流れた時も、素早く対処した。柴(しば)犬の写真を使って手洗いの重要性などを訴えて、台湾の人々が冷静に対応できるようにつとめたという。

タン氏は「民主主義はより多くの人が参加することでよくなる」と基本的な考え方を示し、「デジタル技術は、伝えるだけでなく(市民の声を)聞き取り、共通理解や幅広いコンセンサスを探ることに使えば、参加を促す最良の方法のひとつとなる」と主張した。

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