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迫力際立たせる裏彩色(美術評)

伊藤若冲「旭日鳳凰図」

伊藤若冲「旭日鳳凰図」(1755年、絹本著色、宮内庁三の丸尚蔵館)

雌雄の鳳凰(ほうおう)が、不思議な形の岩にとまっている。その背景には生き物のようにも見える波頭、そして真っ赤な旭。それらが絹地の大画面に、激しい色彩で描かれている。この絵には異様な迫力がある。

その迫力に負けずに画面の細部に目を凝らしてみる。すると、意外にも微妙な色彩で画面が作られていることに気づく。裏彩色という絹地の裏側から色塗りする技法が、この色彩を生み出しているのである。つまり、これは驚異の技術と集中力による作品なのである。

この「旭日鳳凰図」を描いたのは伊藤若冲。若冲は京都錦小路の青物問屋の4代目主人だった。しかし、作画が好きで仕方がない。そこで宝暦5年(1755)、40歳の若冲は家業を弟に譲って隠居する。その宝暦5年の4月に描かれたのが「旭日鳳凰図」である。

若冲にとっても重要なこの「旭日鳳凰図」は、かつて西本願寺所蔵だった。しかし、明治22年(1889)に21世門主大谷光尊が皇室に献上し、現在は宮内庁三の丸尚蔵館の所蔵である。

そして、この「旭日鳳凰図」を描いた2年後、若冲は30幅からなる「動植綵絵」の制作に着手している。これは鳥、植物、魚介類などを信じがたい密度で描いた若冲の最高傑作である。この「動植綵絵」も、現在宮内庁三の丸尚蔵館の所蔵である。

宮内庁三の丸尚蔵館は、平成元年に皇室所蔵作品が国に寄贈されたのが契機となり皇居御苑内に建てられた美術館。その所蔵作品をまとめて紹介する特別展「皇室の名宝」が京都国立博物館で23日まで開催中。新型コロナウィルス感染防止のため、この特別展はオンラインでの事前予約制となっている。

(大阪芸術大学教授 五十嵐 公一)

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